・メンタルが勝敗を分ける
実は、メンタルはどのレベルの人にとっても大きな違いをもたらす鍵なのです。そう考えると、どのレベルの人にも必要なものと言えます。
例えば、二人の初心者が同じスポーツを同じ日から始めたとしましょう。一人は「必ず上手くなって、一流の選手になる」と信じていたとします。もう一人は「自分はあまり上手くはなれないだろうな」と心のどこかで思っていたとします。
同じ時間同じ練習メニューをこなしたとして、どちらの方が上達するでしょうか?
100%に近い確率で、「必ず上手くなって一流の選手になる」と信じて練習した人の方がうまくなります。
なぜでしょうか?
決意が違う、覚悟が違う、集中力も取り組む姿勢も違うからです。その結果二人には差が生じることが目に見えています。
試合で勝つか負けるのかは、試合が始まったときのメンタルの状態で決まると言う人もいます。
試合が始まる前に、試合の勝敗は決まっているというのです。どのような種目の試合を見るときも、両者の顔を見ればどちらが勝つのか予測ができます。
その予測は高い確率で当たります。メンタルでどちらが勝っているか、顔に出ているからです。
・メンタルトレーニングは難しいものではない
私はメンタルトレーナーとして、一万人近くの選手たちに会って指導してきました。
これからどんどん上手くなっていく選手は、見ただけでわかります。
それは心の状態が、姿勢と目の輝きに現れているからです。
最初に心の状態(=メンタル)ありきなのです。
心技体という言葉がありますが、この言葉の最初に心が来ているのは、技よりも体よりも心が最初に重要だということなのかもしれません。
どのような段階の選手であっても、どのような状況であってもメンタルトレーニングをすると必ず成果が出ます。
人によっては、1回のメンタルトレーニングでも、全国大会で入賞するほどの成績がとれるところまで変化する人もいます。
監督やコーチや選手の親から、メンタルトレーニングの成果で勝てるようになったという喜びの報告が次々と届くので、
私自身もメンタルトレーニングによる変化を確認することができるのです。
そのように多くの人に変化をもたらすメンタルトレーニングは、そんなに難しいものではありません。
私が開発したメソッドは、5歳ぐらいからわかるぐらいのわかりやすいものです。
メンタルトレーニングは、スポーツの場面だけに役立つものではありません。
日常生活の中でも、役立つ場面がたくさんあります。
以前論文を書くために、三つの中学校の野球部員約100名にメンタルトレーニングを実施して、その後の変化について一人一人聞き取り調査をしました。その結果、9割近くの生徒たちの学業の成績も上がっていたのです。
メンタルトレーニングで、練習に臨む態度が変わったのと同じように、授業や日常生活の態度も劇的に変化しました。
集中力が身に付き、人の話を理解する力が高まったので、授業中の話も理解できるように変化しました。積極的に発言できるようになり、授業が楽しくなったと多くの中学生が教えてくれました。その結果、自信が高まり、未来への期待も大きくなり、さらに自分の意思では今まで変えることができなかった生活態度まで変化していたのです。人間関係までも良い方向に変化している調査結果を見て、私は鳥肌が立ちました。こんなにも変化するなら、もっと多くの人にもこのメンタルトレーニングを届けたいと思うようになったのです。
練習の成果を今まで以上に上げていきたいでしょうか?
集中力を高め、冷静な判断力を今よりも高めたいでしょうか?
試合本番で、緊張しても実力を発揮できるようになりたいでしょうか?
格上の相手(チーム)にも、勝てるようになりたいでしょうか?
『奇跡を呼ぶ! 無敵のスポーツメンタル』(ごきげんビジネス出版)という著書で紹介するメンタルトレーニングを使えば、
この中のすべての願いを現実のものとして手に入れることが可能となります。
第1章には、『「上手くなりたい」「試合に勝ちたい」「結果を出したい」ならビリーフを変えろ!』ということで、練習の成果をあげて上達するにも、試合で勝つためにも必要なことは何かをお伝えします。
第2章には、緊張しても実力を発揮する方法を紹介します。大切な試合で緊張してしまったときにも、最高の状態で試合に臨むことができるように切り替える心の裏技を知ることができます。
第3章には、やる気スイッチを手に入れる方法を紹介します。やる気が出ないときや練習や試合に気持ちが進まないときに、どのように自分の気持ちを上げていくことができるのか、モチベーションを高い状態で維持し続けるためにどうすればいいのかを知ることができます。
第4章には、悩んだときの乗り越え方を紹介します。伸び悩んだときや、チームでの考え方の違いやコーチとの人間関係の悩みなど、人には相談しにくいような悩みでも、世界の問題解決技法を活用すれば10分で納得のいく答えを導き出すことができるでしょう。
第5章には、気持ちを切り替え心を整える場面別瞑想をご紹介します。大切な試合の前や格上の相手と対戦するときなど、どのように心を整えることができるのかを具体的な言葉で紹介します。
第6章には、心を奮い立たせる名言を紹介します。著名なアスリートたちが、何を考えどのような言葉で自分を鼓舞していたのかを知ると、勇気が湧いてくるからです。
メンタルトレーニングの世界を楽しむ準備はできていますか?
≪奇跡を呼ぶ! 無敵のスポーツメンタルのはじめにより抜粋≫
・無意識のビリーフがすべてを決めている
何を信じているのかで結果が変わる!
あなたは何を信じていますか?
自分がどのぐらい上手くなれると思っているでしょうか? どれぐらい強くなれると思っているでしょうか? 選手にはいつ選ばれると思っているでしょうか? どの試合に勝てると思っているでしょうか? |
何を信じているのかは、自分でも気づいていないかもしれませんが、心の深いところでは自分の能力はこれぐらいで、どこまでの試合で勝てそうかなど、思い込んでいるものがあります。
このように自分が何を信じているのかをビリーフと呼んでいます。
自分でさえ気づいていないビリーフがすべてを決めているのです。
上手くなるためには、自分が何を信じているのか気づくことが大事です。そして、何を信じるとさらに上手くなることができるのかを知ることが重要です。
・自分のビリーフに気づくために
自分のビリーフに気づくために、次の質問の答えを自分なりに考えてみましょう。
自分はどのぐらい上手くなれると思っているでしょうか? どれぐらい強くなれると思っているでしょうか? 選手にはいつ選ばれると思っているでしょうか? どのぐらいのレベルの試合に勝てると思っているでしょうか? |
答えが見つかったら、「本当にそれでいい?」と自分に問うのです。
例えば、自分はAチームにはなれないだろうと思っていたとしたら、「本当にそれでいい?」と自分に問いかけます。
答えがYESならそれでいいです。
もしも、「本当はAチームになりたい」と思うのであれば、ここでビリーフを変えない限り、あなたがAチームになることは難しいのです。
どのように「Aチームになることができる」と思えるのかは、後ほど紹介していきます。
・オリンピック選手からの質問
以前、卓球のオリンピックメダリストの平野選手にメンタルトレーニングをしたとき、平野選手から質問がありました。
「中国の選手を相手に戦うときは、どうしても勝てると思えないのですが、どうしたらいいですか?」という質問です。
中国の卓球は世界一強いため、格下である日本選手は試合の前にメンタルで負けていたのです。
そこで、「どうしたらいいでしょうね?」と一緒に考えていたら、平野選手が「いいことを思いつきました!」と言うのです。
平野選手は何を思いついたと思いますか?
あなたが平野選手だったら、どのように中国にも勝てると思えるようにするでしょうか?
試合の前にメンタルが負けているとき、実際の試合に勝てる確率はとても低くなってしまいますから、
メンタルだけでも「自分は勝てる」と思えるようにすることは、とても重要なことなのです。
・マイナスに作用するビリーフ、プラスに作用するビリーフ
ここで、マイナスに作用するビリーフとプラスに作用するビリーフにはどのようなものがあるのかをご紹介します。
【マイナスに作用するビリーフ】
「どうせできない」「やっても無駄」「勝てるはずがない」「経験がないと難しい」「そんなにうまくはいかないものだ」などがあります。
【プラスに作用するビリーフ】
「やればできる」「可能性は充分ある」「人は成長するもの」「〜しても大丈夫」などがあります。
ビリーフは無意識なので自分では気づいていないことが多いものですが、結果にも大きな影響を及ぼしていますので、
結果を変えたければ自分が信じていること(ビリーフ)に気がついて変えていく必要があるのです。
ポイント |
『何を信じているのかというビリーフがすべてを決めている!』 なりたい自分になるためには、何を信じることが必要なのかと考えて切り替えていこう! |
【言葉を変える!】
緊張したりあがってしまうような場面を頭の中で思い描いてみてください。そのとき頭の中にはどのような言葉が聴こえていますか?
・「失敗したらどうしよう」
・「うまくいかないかも」
・「どうしよう緊張してきた」
・「ダメ」
・「無理」
・「できない」
・「もうイヤ」
・「また失敗してしまう」
・「なんと言われてしまうだろうか」
・「逃げ出したい」
というような言葉が聴こえているとき、どんどん不安になって緊張感が増していきます。
では、同じ場面で、どのような言葉に切り替えたら、落ち着いて実力を発揮することができるでしょうか?
・「大丈夫!」
・「なんとかなる」
・「自分を信じて」
・「すべてはうまくいっている」
・「私はできる」
・「やるだけのことはやった」
・「どんどん落ち着いてくる」
・「みんながついてる」
というような言葉に切り替えてみると、心の状態が切り替わっていきます。
頭の中に聞こえてくる声は、「自動思考」というもので普段はこの声に気づいていないのですが、
頭の中に聞こえてくる声が感情や状態をつくり出しているのです。
状況が変わらなくても、頭の中の声を切り替えることで、感じる感情や身体の状態を切り替えていくことができるのです。
メンタルトレーニングのワークショップでは、言葉が自分自身にどのような影響を及ぼしているのかを確かめる実験をしています。
二人組で確かめ合うものです。
➀まず一人が片腕を水平に肩の高さに挙げて力を入れて水平に保ちます。
②次に、手を下ろして、「どうしよう緊張してきた」「うまく言えないかも」「ダメ」「無理」「できない」「もうイヤ」 「また失敗してしまう」「なんと言われてしまうだろうか」「逃げ出したい」と心をこめて3回ずつ言います。 そしてまた手を水平に挙げて力を入れたら、もう一人に押してもらって、 先ほどとパワーがどのように変化したのかを確かめてみるのです。
③次に、「大丈夫!」「なんとかなる」「自分を信じて」「すべてはうまくいっている」 「私はできる」「やるだけのことはやった」「どんどん落ち着いてくる」「みんながついてる」と心をこめて3回ずつ言います。 そしてまた手を水平に挙げて力を入れたら、もう一人に押してもらって、先ほどとパワーがどのように変化したのかを確かめてみるのです。 |
どのような変化が現れると思いますか?
約9割の人が、マイナスワードを言うとパワーが弱まり、プラスワードを言うとパワーが強まることを実感できます。
言葉によってこんなにもパワーが変化するのかと驚かれる人もいます。
私たちには様々な状況があります。
試合で自分の出番の直前や、野球であればバッターボックスに立つ寸前や、サッカーのフリーキックを蹴る前などは緊張する人も多い場面です。
それぞれの状況で、そのときに頭の中に聴こえてくる声があります。
「どうしよう失敗したら・・・」
うまくできなかったらどうしよう」
というような声が聴こえてきたら、緊張します。
感情も不安になります。
そのようなときに、心の声は切り替えることができます。
「大丈夫」
「なんとかなる」
「自分を信じて」
など、自分が落ち着いく言葉に切り替えると、感情も体の状態も切り替わっていきます。
これが心のしくみです。
言葉は無意識に出てきていますので、普段は自分の言葉に気づいていないことが多いのですが、
これからは意識的に切り替えながら、自分の状態を整えていきましょう。
あなたにとって一番パワーが出る言葉は何ですか?
試合本番で緊張してから見つけようと思うと難しいですので、あらかじめ見つけておいて、緊張するような場面で、その言葉を唱えてみてください。
落ち着いて実力を発揮することができます。
ポイント |
言葉が変われば、感じる感情も、身体の状態も変わります。 あがったときは、落ち着く言葉を使えば、あがっても大丈夫! |
緊張したときの表現として、「あがっている」「地に足がつかない」「まいあがっている」「うわのそら」というような言葉があります。
緊張しているときには、意識が上の方にあがっている状態です。
それと比較してみると、「落ち着いている」「地に足がついている」「冷静沈着」というように、集中して実力が発揮できる状態のときは、
意識が下に方にあることがわかります。
・緊張から意識を切り替える方法
このことを活用して緊張していても一瞬で冷静で実力を発揮できるように切り替える方法があります。
お腹の辺りにある臍下丹田という場所を意識するだけで、一緒にして冷静な実力を発揮できる状態に切り替える方法です。
臍下丹田の場所は、おへそから指4本分ぐらい下の辺りの位置で、身体の厚みの中心部分になります。
メンタルトレーニングのワークショップなどの時には、2人組になり、一人が立ったまま「頭、頭、頭」と言いながら、頭に意識を集中してもらい、
もう一人がその方の肩の辺りを押してもらいます。
次に、「お腹、お腹、お腹」と言いながら臍下丹田の部分を意識してもらい、同じように肩の辺りを押して、
先ほどとの違いを確認していただくようにしています。この実験で、どのような違いが表れると思いますか?
頭に意識があるときは、押されるとよろめいてしまいます。「お腹」と言いながら臍下丹田の辺りを意識すると、押されてもびくともしないのです。
まるで、身体の軸ができてどっしりと重くなったかのようにさえ変化します。
この状態が、地に足が着いた実力を発揮できる状態です。一本足打法でホームラン王に輝いた王貞治選手は、
この臍下丹田を意識する方法を学んで一本足打法が生まれたというエピソードがあります。余分な力がぬけて、
力まずに最高のパフォーマンスをあげることができる状態を一瞬にしてつくりだすことができたからこそ、一本足打法は生まれたのです。
中学生100人にこの方法を教えて実践してもらった結果、落ち着く他にも効果があることがわかりました。
臍下丹田を意識することで、集中力や理解力を増すこともできるということです。
話を聞くときに臍下丹田を意識して聴くと、今までよりも話が理解できるようになったというのです。臍下丹田を意識すれば、
学習効果や作業効率もあげることもできるのです。
ある人は、走りながら臍下丹田を意識することは雑念を手放すことにもつながるという体験を教えてくれました。
何かを考えないようにしようとしても、結果的にはそれを考えてしまうことになるが、臍下丹田を意識することに意識を集中すると、
その雑念を手放せている自分に気づかれたそうです。
私自身は、電車の中で立っているときに臍下丹田を意識する練習をしています。臍下丹田を意識できていれば、
電車が揺れてもよろめかないため、押されなくてもできているかどうかを確認できるからです。
ここぞという場面で緊張したときは、この臍下丹田に意識を向けるだけで、一瞬にして実力を発揮できる状態に切り替えることができます。
試合中でもテストでも人前で話をする場面でも、日常生活のあらゆる場面で活用しながら、自分への変化を確かめてみてください。
ポイント |
お腹の辺りにある臍下丹田という場所を意識するだけで 一瞬にしてベストパフォーマンスができる状態に切り替わる! |