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不思議な森の花畑

《この花畑ストーリーのイメージ絵がトップページのデザインです》

不思議な森の中には、花畑がありました。でも、この花畑は少し変わった花ばかりが咲いている不思議な花畑でした。どんなふうに変わっているのかというと、1本1本が自分の物語を持っている花たちが集まっているのです。

海の花は、遠い国から運んでくる潮の匂いが漂い、波の音がかすかに聞え、花びらは貝殻の形をしています。じーっと見つめていると、まるで自分が異国を旅しているかのような夢をみることができるのです。
仲良しの花は、ひとりぽっちで寂しいときに見ていると、なんだか1人ではないような友達ができたような温かい気持ちになる花ですし、
おしゃれの花は、どんな生き物でも美しく変身させて、自分に自信と希望を取り戻してくれる花でした。
やさしさの花は、傷ついたり困り果てて悩んだ人がいると、やさしく歌を歌ってくれます。その歌声を聞いていると、いつのまにか元気が湧いてきて、次に何かをしようという何かが自分の中に感じられるようになるのでした。
魔法の花は、本当にその人が叶えたいと思っている願い事を1つだけ、叶えられるように道を示してくれる花でした。

花たちは仲良く毎日暮らしていて、ちょうちょがとんできて森の様子を知らせてくれることをとても楽しみにしていました。

 この花畑では、空の色がばら色に染まるときに、また、新しい個性を持つ花が1りん生まれるのでした。新しい花が生まれると、先に花畑に咲いている全部の花が心から祝福してくれるのでした。今度咲く花は、どんな素敵なところを持っている花なのかしら。不思議な花たちは、新しい仲間の誕生をとても心待ちにしているのでいした。

 この日、空はほんのりと薄いピンクのバラの花びらの色をしていました。花畑では、また、新しい命が誕生するという期待で胸を躍らせていました。先輩の花たちが見守るなかで、薄い萌黄色の芽が出てきました。そして、ゆっくりと葉を広げたかと思うと、するするっとつるが伸びて、深い深い紫色の花びらの中に、かすかな黄色味をおびたそこはかとない美しさと、冷たい気品を感じる花が誕生しました。
「あなたは、どんな花ですか?」先輩のやさしさの花が尋ねると、視線を地面に落したままでその花は答えました。
「わたしは、悲しみの花です。わたしにはいいところが一つもありません。だから悲しくてしかたがありません。だから私は悲しみの花なのです。」そう言うと、悲しみの花はつるをねじって、背を向けてしまいました。

 不思議な花畑の他の花たちは一瞬言葉を失ってしまいました。この自分の存在を悲しんでいる新しく生まれた花に、なんと言って言葉をかけてよいのかすぐにはわからなかったのです。

一番最初に口を開いたのは、海の花でした。「あなたは、まだ旅の途中なのよ。まだ自分のいいところを見つけられていないだけで、今から見つけていけばいいんじゃないかしら。私と一緒に自分のいいところを見つける旅をしてみない?」
悲しみの花は、黙ってそのままうつむいていました。

次に口を開いたのは、おしゃれの花です。「ねえ、こっちを向いてよ。私の花の中にあなたが映っているわ。あなたは本当に美しくてまぶしいほどよ。その美しさに気がついて欲しいんだけど・・・」
悲しみの花はゆっくりと顔を上げて、おしゃれの花に映っている自分の姿を見ました。「わたしぐらいの花は他にもいくらでもいるわ。あなたたちだってみんなきれい。だから特別自分のいいところには思えないわ。」そう言うと、また、うつむいてしまいました。

三番目に声をかけたのは、やさしさの花でした。「あなたはとっても悲しい気持ちでいっぱいなのね。」そう言うと、寄り添うようにして悲しい気持ちを歌にしました。
「わたしのいいとこころは、いったいどこなの?誰か教えて!このままだと、ずーっとわたしは悲しみが止まらない。本当のわたしはどこにいるの?わたしは何をするために生まれてきたの?だれか教えて!」
悲しみの花はこらえていた涙が、もう止められなくなりました。

四番目に声をかけたのは仲良しの花です。「わたしはあなたが悲しい花でもお友だちになりたいわ。どんなときでも、お日さまがわたしたちに微笑みかけてくれるのよ。そして、わたしたちは、いつでもあなたのそばにいて、あなたの味方でいるから安心してね。」
悲しみに花は、大泣きに泣いていましたが、少し落ち着いたようで呼吸が少しずつ、戻っていきました。

五番目には、魔法の花が言いました。「あなたは、本当は何がしたいの?」しばらくして続けました。「悲しいことがあっても、その場で立ち止まってしまったら悲しいままだけど、自分が本当に進みたい方向に悲しくても進み続けたら、あなたの悲しさは喜びにかえられるけど、どうする?」
「悲しいままでいるか、前に進むかはあなたしか決めることができないの。幸せになる決断をできるのは自分だけなのよ。」そう言って、魔法の花は悲しみの花をやさしく見守りました。

どのくらい時間が過ぎたでしょう。ゆっくりと時間が流れたような気がします。花たちは黙って悲しみの花を見つめて、そして心から元気になって欲しいと願っていました。気がつくと、小鳥たちがさえずり、淡いオレンジ色をした雲の切れ間から日が差し込んでいました。風に乗ってどこからか天使の歌声のような声がかすかに聞えてきたようでした。花たちは、耳をすましてその声を聞こうとしました。

「わたしは、悲しみの花だけど、やさしいみんながついててくれる。わたしは、悲しみの花だけど、いつか生まれ変わって希望を見つける。わたしの希望はわたしが見つける。だから、今はかなしいけれど、前に進もう・・・」それはそれはか細いけれどとっても澄んだ美しい歌声でした。悲しみの花を見つめていた先輩の花たちも、それを聞いて嬉しくなって一緒に歌いました。

そして、それからは悲しみに花は「希望の花」と呼ばれるようになりました。どんな花でもどんな状態でも希望を忘れないことを、みんなに伝えたいという夢が見つかったからです。


ビーは今日昼間に不思議な花畑で見たことを、その晩眠りに着くときにベッドの中で思い出しました。そして、ぼくの花はいったいどんな花だろうと思いました。ビーにもまだ自分のいいところが見つかっていませんでしたが、なんだか見つけられるような気がしていました。

あなたの花はどんなはなでしょう。そして、どんないいところやストーリーがあるでしょう。楽しみに期待で胸を躍らせながら、たくさん、たくさん見つけていってください。

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2006年7月20日 02:00に投稿されたエントリーのページです。

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