スポーツする人を応援します アーカイブ
2006年7月20日
やる気を引き出し、練習効果を上げる
◆プログラム
○ 気持ちの切り替え
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○ 目標を持つとこんなに変わる
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○ やる気を持続するドリームマップ
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緊張した時にも緊張を克服して実力を発揮するためにできる心のスキル
2010年5月30日
心を強くするプラスの言葉
■心は鍛えられるのか
みなさんは、普段はどのように心のことを考えているでしょうか。身体を鍛えて体力をつけたり、技を磨いたりするのと同じように、心も鍛えることができます。しかし、心を鍛えるには、ただ我慢したり、ただ頑張るというだけではなかなか思うように強くはなりません。
心を鍛えるにも方法があるのです。このコーナーは、毎回心を鍛えるための方法を紹介していきます。みなさんは、ここに紹介されているトレーニング方法を実際に試してみながら、自分の力で心を強くしていくことができるのです。
心のことは、なかなか教えてくれる人がいませんが、心は自分の意識一つで強くも弱くもなるのです。そして、心が強くなれば、練習にも集中できますし、打席やマウンドでも緊張せずに、実力を発揮することができるようになります。
どうすれば心を強くできるのか、心の仕組みを知って理解し、いつでも必要なときに心を強く保つ方法を紹介していきます。ここで紹介する方法を繰り返し意識するだけで、自分の心をコントロールできるようになっていきます。どうぞ、自分のために試してみてください。第1回目の今回のテーマは、『心を強くするプラスの言葉』です。
■プラスの言葉が心を強くする
みなさんは、普段は意識していないと思いますが、心の中には声になっていない言葉があります。心が弱まっているときは、「どうしよう...打てるかな...」とか、「大丈夫かな~」「自分のところに球がとんできたらどうしよう...捕れるかな...」「打たれたらどうしよう...」などというように、心の中の言葉が弱々しくマイナスに傾いています。試しにピンチの状況を思い浮かべて、自分の心の声が何と言っているか聴いて書き出してみましょう。9階の裏2アウト満塁です。次のバッターは自分です。
例)どうしよう...
どうでしたか?自分の心の声は何と言っていましたか?はじめは、自分の心の声に気がつくことが大切なのです。そして気がついたら、自分の中のマイナスの言葉をプラスに変換させるとしたら、どんなプラスの言葉に置き換えることができるでしょう。
例)大丈夫!絶対打ってやる!
プラスの言葉には、これでなくてはいけないという決まったものはありません。何通りもあります。その中から自分にとって一番力が湧いてくる言葉を選んでおくと、本番でマイナスの言葉が出てきたときにも、すぐにプラスに変換させることができます。プラスの言葉のストックを、たくさん用意しておくと心が弱くなったときにも、すぐに切り替えられるようになります。
■確かめてみよう
プラスの言葉が、どのくらい自分のパワーに影響しているのかということを確かめられる実験があります。みんなでやってみましょう。できれば、誰かに手伝ってもらうとよく確認できます。
① 片方の手を握り、その腕に力を入れてみます。もう一人は、その腕を両手で押して、その腕にどのくらい力が入っているか確かめます。
② 次は、指先を伸ばして、指の先から光線が出ているところをイメージしてみます。もう一人は、先程と同じように両手で押して、その腕に力がどのくらい入っているかを確かめます。
※ 実験がうまくいっていれば、手を握って力を入れているときよりも、手の先から光線が出ているところをイメージした方が、強いパワーが出ていることに気がつきます。これは実験のための準備です。
③ 次に、手の先から光線が出ていることを意識した状態で、心の中で「打てるかな」「捕れるかな」「大丈夫かな」などのマイナスの言葉を思い浮かべてみます。もう一人は、先程と同じように腕を押して、パワーがどのように変化しているのか確かめます。
④ 今度は、同じことをプラスの言葉「絶対打ってやる」「大丈夫!落ち着いていこう」などを思い浮かべながら行います。もう一人はパワーがどのように変化しているのか確かめます。
■心のコンディションを整える
心の中の言葉が、プラスかマイナスなだけで、身体のパワーがこんなに変化してしまうことがこの実験で確かめられると思います。
気づかないうちに、心の中の言葉がマイナスになってしまうと、身体のパワーまで弱まって、緊張したり実力が出せない状態になってしまっていたのです。けれども、意識してマイナスになっている心の声に気がついてプラスに変化させるだけで、心も身体もパワーを取り戻し、実力を出せるコンディションをつくることができるのです。
だから、普段から心の声をプラスに変化させる習慣を身につけておくと心はどんどん強くなっていきます。このトレーニングは気持ちを切り替えるだけでいいので、いつでもどこでも行うことができます。野球以外の日常生活場面でも、実力を出したり、心のコンディションを整えるのにも、プラスの言葉は役立ちます。毎日繰り返して、強い心と身体の状態を手に入れてください。
次回のトレーニングは、「やる気」を高めるトレーニングです。
■子どもの心を鍛える上で 親や指導者ができるサポート
【心を鍛えるサポーターとして】
今回は、子どもたちが自分の心を強くしていくために大切な、心の声をマイナスからプラスに切り替える方法を紹介しました。できれば、お子さんたちと一緒に実験を行って、子どもが確かめるのを手伝ってあげて欲しいと思います。また、もう一つ大事なことは、子どもが学んだことを大人も共通理解することです。子どもたちがいくら自分の心を強くしようとして、心の声をマイナスからプラスに切り替える努力をしたとしても、周りの大人たちが知らずにマイナスになるような言葉がけをしたのでは、努力が水の泡になってしまうからです。
バッターボックスに向かう子どもの心は、「打てるかな」という不安で、心臓が激しくなっています。そこへ、「絶対打てよ。うたなきゃ承知しないぞ」というような脅迫めいたメッセージを送られたのでは、「打てなかったらどうしよう」というマイナスの気持ちを更に強化させてしまうことになります。これでは、実力を出せない方向に引っ張っているようなものです。
子どもたちの心をプラスに持っていくようにするには、どんな言葉をかけてあげるのがいいのでしょうか。子どもたちだって打ちたいのです。ですから、「大きく呼吸して落ち着いていけ」「ボールをよく見ていけ」というような具体的にどうすれば打てるのかという指示や、「大丈夫!打てるぞ」というように心の声をプラスの言葉に導くような言葉のかけ方が、子どもが実力を出す状態をつくりやすくなります。
普段の練習でも同じです。大人は目の前にある勝利に目がくらんで、思うように子どもたちを動かしたくなり、大声で怒鳴ったり、きつい指示で子どもたちをコントロールしようとします。その方が、手っ取り早いからです。しかし、長い目で見たときに、本当の意味で子どもたちにとってこの指導が役に立つ指導であるかどうかは別の問題です。子どもは大人の言葉に動かされていますが、その言動にいろいろなことを感じ取っているからです。
怒鳴って指示を出す大人たちにとって、自分はどんな存在なのだろうか、自分の価値はどんなものか、少なくとも尊敬されてはいないということに気づくはずです。自分の内面の気持ちは本当にそれがしたいと思って動いているのか、それともやらされているのかということに気づき始めます。目には見えないけれど、確実に大人の言葉が子どもたちの心の中にたまっていくのです。良いプレーヤーに育てたいなら、子ども自身が自分の価値を感じられることは必要です。また、子ども自身の気持ちから動けるような指導が必要です。そのためには、怒鳴ったり強制的な練習方法は逆効果と言えるでしょう。大人たち自身が、プラスの言葉を意識的に使いながら、子どもたちの心にプラスの言葉をためていくことを心がけてください。
【子どもたちの心の現状】
メンタルトレーニングをしながらチームを回っていると、ほとんどの子どもたちは自分の改善したいところは山ほど挙げられるのに、自分のプレーの良いところを挙げるのにはとても苦労しています。自分の良さを見つけられずに受け入れられずに苦しんでいます。自分の良さを知らないで、自信を持てと言っても自信を持つのは難しいでしょう。上手い選手や強い選手は、自分の良さを知って勝負しています。良いプレーヤーを育てるために、子どもたちが自分の良さを受け入れられるプラスの言葉で指導をしていくことが、子どもたちのために大人がしてやれることではないでしょうか。
【心の声をプラスにすることの意味】
また、心の声をプラスにすることによって生じる変化は、野球以外の場面でも大きな変化をもたらします。中学生200人を対象に行った調査では、9割近い子どもたちに野球以外での変化が確認できました。中でも多かったのは、「授業中など人前で自分の意見を発表することが恐くなくなって、積極的に発言できるようになった」「テストや発表会などでも実力を出せるようになった」「不安が消えて集中できるようになり、落ち着いて生活できるようになった」「暴れたり喧嘩しなくなった」「今自分がどうするべきかという判断力がついて自分の行動に自信が持てるようになった」という変化でした。このことからも、心を自分でコントロールするスキルとして、自分のために使えることがわかります。是非、身につけられるように一緒に取り組んでみてください。
やる気を引き出す
指導者にとって子どもたちにやる気を持って取り組んで欲しいという願いは共通のものであると思います。しかし、その気持ちとは裏腹に、やる気を引き出すことに苦労されている方も多いでしょう。今回は、子どもたちにやる気を持って取り組むことでどれだけ効果が上がるのかということを、体で確かめてもらいながら、気づきを深め、やる気を引き出す方法をご紹介したいと思います。
■『したい』と『すべき』気持ちの違い
みなさんは、「やらなくてはいけないのに、やりたくない」とか「なんか体が重くて練習が憂鬱」といった体験はないでしょうか。
日々の練習を『練習したい』と思って毎回取り組めればいいのですが、気がつかないうちに、『練習しなくては』という気持ちにすりかわってしまうことはよくあることです。
普段はそんな内面のことまで意識しないで練習に取り組んでいると思いますが、この2つの気持ちの違いは、練習の質や効果に大きな影響を及ぼしています。では、実際にこの『2つの気持ちの違い』がどれだけの『違い』をもたらしているのか、体を使って確かめてみましょう。
【手を振る実験】
手を振ってもぶつからない場所で行いましょう。一人でもできますが、できれば2人組みで行うとより効果的です。
①はじめに1人が『振りたくないけど振らなくてはいけない』と思いながら両手を横に振ります。もう1人は向かい合ってその手を持って、振りの具合いや様子を確かめてみてください。
②今度は同じ人が『振りたくて振りたくてたまらない』という気持ちで両手を振ります。もう1人はさっきと同じようにその手を持って、振りの具合いや養子を確かめてみましょう。
③1回目の手の振りと2回目の振りではどのような違いがあったでしょうか。2人で行った人は、感じたことを伝え合ってみてください。
④2人の役割を交代して①~③を行います。
どのような違いを発見できたでしょうか。『振らなくてはいけない』と思いながら振ったときと、『振りたい』と思いながら振ったときの体の動きはどう違いましたか。手の重さや動きの硬さ、リズムはどういう違いがあったでしょう。顔の表情や気持ちはどうだったでしょう。振りたいと思いながら振ったときには、手も軽くて振りも大きくなり、動きがリズムカルになったと思います。顔の表情もにこやかで、心も軽くウキウキした感覚ではなかったでしょうか。それに比べて、振らなければならないと思いながら振ったときは、動きは硬くて小さいし、なんか堅苦しく表情も眉間にしわがよっていったことと思います。
手の振りを練習に置き換えて考えてみましょう。辛いトレーニングメニューや苦手なものに取組むときは、「やらなければいけないからやる」という気持ちが芽生えてしまうものです。そのときに気持ちを意識的に切り替えるのが効果的です。前回心の声をマイナスからプラスに切り替えるプログラムを紹介しましたが、これも同じです。自分がやりたくないのにやらなければいけないから取り組んでいるときは、「自分の目標を達成するために、自分はこの練習がしたいんだ!」と意識して心の声を切り替えてみる。そうすることで練習の質を高め、効果を上げていくことができるようになります。
■目標を持つことの意味
みなさんは、日々の練習の中で、どのような目標を持って練習に取り組んでいるしょうか。目標は持った方がいいことは多くの人が知っていることですが、目標を持つことによってどれだけ効果上がるのかということを実感している人は少ないと思います。
同じ練習をこなしても、自分の目標を持って取り組むのと、ただ練習メニューをこなすのでは、練習の質も異なるし、得られる効果も異なるということを、自分の身体で確かめてみましょう。
【目標を持つことの意味を実感する実験】
5mくらいまっすぐに歩けるスペースを確保します。1人でもできますが、できれば2人で行うとよいでしょう。
① はじめに1人が『ただなんとなく』歩きます。もう1人は歩く途中に立って、手で歩くのを妨害します。
② 今度は、歩く先に『自分の輝かしい希望』があることをイメージしながら、歩きます。もう1人は先ほどと同じように歩く途中で手で歩くのを妨害します。
③ 1回目と2回目の歩きには、どのような違いが感じられたのかを2人組で話し合います。
④ 今度は2人の役割を交代して同じように①~③を行ってみましょう。
どのような違いを発見できたでしょうか。『ただなんとなく』歩いたときは、妨害されて止まってしまった人が多いと思いますが、輝かしい目標をイメージして歩いたときは、妨害されても妨害されたことは気にならないくらいの勢いで前に進んでいったと思います。歩いている感じも、なんか楽しくてどんどん前に進みたくなる感覚ではなかったでしょうか。パワー、スピード、やる気、障害の感じ方などに大きな違いを感じられたと思います。
これを練習に置き換えて考えてみてください。ただなんとなく練習したときと、自分の目標を明確に意識しながら練習したときにも同じことがいえます。練習すれば上手くなるというものではありません。
一つ一つの練習も、「この練習は何のためにやるのか。それによって自分は何をえたいのか」ということを意識して練習するのと、指導者に指示されたからやるのかというのでは、同じ練習メニューでも取り組みの質もその練習から得られる結果も大きく違ってくるのです。このことを気づくことはとても大事なことだと思います。
日々の練習の中で、この気づきを持って取り組んでいくと、練習が自分のものとなり、やる気を自分でコントロールできるようになります。辛い練習メニューでも自分のためと思えば、苦ではなくなることがわかりました。目標達成のために自分で工夫しながら動いたり、練習後に自分の練習成果を確認して、この練習で自分がどのくらい成長できたのかを確認することで、自分の目標に近づくプロセスをたどっていくことができます。
目標が明確になったときから、意識が変わり、行動が変わり、本当の意味でのやる気が出てきます。是非、日々の練習の中で、子どもたち自身がこの練習で自分は何を手に入れたいのかという目標を決めるという習慣をつけてあげていってください。
■子どものやる気を引き出すために指導者ができること
今回は、やる気を持って取り組むときと、そうでないときの違いを確認して、自分の気持ちを切り替えながらやる気をコントロールする方法を紹介しました。言葉で説明することと合わせて、自分の体で違いを確認することがポイントです。
それから、日々の練習の中で、『今日の練習の意味』や『今日の練習の目標』を明確にして子どもたちに確認しながら練習を行うことをお勧めします。指導者のちょっとした言葉がけが、子どもたちのやる気を持続させるのに役立ちます。
大人は練習メニューを与えすぎてしまう傾向がありますが、与えすぎはかえって子どもたちのやる気をそいでしまうことが多々あります。「今やろうと思ってたのに...」という言葉がありますが、やろうと思っていたことでも「やりなさい」と言われた瞬間にやる気を失うことがありますよね。中日ドラゴンズの落合監督はキャンプで練習メニューを白紙にして、選手の自主性に任せたそうですが、これは与えられた練習ではなく、自分の目標のためにはどんな練習が必要かを選手自らに考えさせたよい例だと思います。
子どもたちのやる気を引き出したかったら、練習メニューを指示してやらせるという練習スタイルから、子どもたち自身が、自分の目標達成のために今日どんな練習をしたらいいのかを子どもたち考えさせて、その内容を練習に取り入れるという自立した練習スタイルに切り替えていくことだと思います。やらされていると思う練習は身にならないからです。練習の中に、ある程度子どもたち自身が主体的に動ける部分を組み入れていきながら比重を調整していくといいでしょう。任せて信頼することも、自立には必要ですから、段階をおいながら自立した練習ができるようにサポートしてあげてください。
次回は、子どもたち自身の目標を引き出してやる気を高めるために、質問技法を用いた『目標を見つけるプログラム』をご紹介します。
「やる気」を引き出すために
■『自分の目標』を見つける
子どもたちが、本当の意味での「やる気」を引き出すためには、子どもたち自身が、『自分の目標』を持つことが大切です。しかし、ただ、「目標を見つけなさい」と言っても、何が自分の目標なのか見つけられる人は少ないでしょう。今回は、自分が本当に求めているものは何なのかを見つけていくために、『自分の目標を見つける魔法の質問』を使った目標設定の仕方をご紹介したいと思います。
目標を持ったときと持たないときのパワーの違いや、障害の感じ方の違いを前回ご紹介しましたので、その方法を使って目標を持ったことが如何に自分にとって有効なのかを確認した後に、自分の目標を見つけるためにという流れで、この質問を使うとより効果的です。
■自分の目標を見つける魔法の質問
☆ 今の自分はどんな自分?
一つめの質問は、「今の自分はどんな自分か?」という質問です。技術・体力・精神面から具体的に書いてみましょう。
ここで伝えたいメッセージは、前に進むためには、自分の現在地点を確認することが必要だということです。ここでいう現在地点とは、自分自身をどのようにとらえているかという心の現在地点のことです。いいところも悪いところも含めて受け入れてはじめて、前に進むことができます。
☆ 自分のプレーのいいところは?
二つめの質問は、「自分のプレーのいいところは?」という質問です。技術・体力・精神面から具体的に書いてみましょう。
ここで子どもたちに伝えたいメッセージは、『自信は待っていてもつくものではない。自信は自らつくるものだ』ということです。この質問の答えが自分の自信へとつながります。この質問をすると、多くの子どもたちがなかなか書けずに困っています。人と比べて劣っているとか、人に認められないから自分の良さだと自分も認められないと考えているようです。また、自分でいいと思ってしまったら、それ以上伸びないのではないかという不安を持っていることも多いようです。しかし、マウンドでプレーをするときに、自分の見方になってくれるのは、どれだけ具体的に自分の良さを自覚しているかということだと思います。「自分は、~だから大丈夫!」というように、自信を持って試合に強気で臨むためには、自分のプレーのいいところをどれだけ自分で認めているかということがとても重要になってきます。そのことを伝えるとはじめて、自分の良さを受け入れてもいいんだというように自分に許可できるようです。そして、今はいいと思うところが少なくても、これからの自分のために自分のいいところをたくさん増やしていこうというメッセージを伝えてあげてください。もちろん、指導者も子どもたちが具体的に自分の強みを自覚できるような言葉を、日常の練習の中でかけていくことも大切です。
☆ 自分の改善したいところは?
三つめの質問は、「自分の弱みや改善したいところは?」という質問です。技術・体力・精神面から具体的に書いてみましょう。
二つめの質問に比べて、自分の改善したいことはたくさん思いつくようです。どんどん書いている子どもが多いようです。子どもたちは、自分の足りない部分を自覚しているようです。ここで子どもたちに伝えたいことは、『弱みは弱みで終わらせない。弱みも克服したら強みに変わる』ということです。自覚している弱みは、放っておくと不安の材料になってしまいます。試合に強気で臨みたいのに、「~だからどうしよう...」というマイナスの言葉になって、ますます自分のパワーを弱めてしまいます。ですから、ここで答えられた課題を克服して、自分の強みに変えていこうということを伝えてください。
☆ 何でも叶うとしたらどんな選手になりたい?
四つめの質問は、「どんなことでも叶えられるとしたら、どんな選手になりたいか?」
という質問です。こんなふうになれないのではないかと思う気持ちはおいといて、ここでは自由に書いてもらいましょう。
ここで子どもたちに伝えたいメッセージは、『あきらめない!』ということです。誰でも気がつかないうちに自分の可能性に限界の壁をつくってしまい、「そうはなれないんじゃないか」とあきらめてしまっていることが多いのです。ですから、ここで一度そのあきらめの壁をとっぱらって本当に求めている『なりたい自分』を思い描いてみるということをしてみます。ここではあこがれの選手などをイメージしてみると、自分が本当に求めている能力などが具体的になってきます。
☆ 本当に手に入れたいものは?
五つめの質問は、「本当に手に入れたいものは何か?」という質問です。ここでいう手に入れたいものは、目に見えない何かでもいいです。お金では買えない何かでもいいです。
ここで伝えたいメッセージは、本当に欲しい何かを具体的に見つけることができたら、それは手に入れることができるということです。
質問をひとつひとつ自分に問いかけながら、自分の内なる声に耳を傾けるようにして行います。人の目を気にしなくていいように配慮して、時間も一つの質問に3~5分くらいはとります。答えが出てこなくても、そのくらいの時間はじっくりと自分に問いかける時間にしてください。私がこの質問を使うときには、どんどん先にいかずに、ひとつひとつみんなで進みながら、メッセージを伝えていきます。質問によって子どもたちは目に見えない自分の心と向き合いながら、心を整理していくことを援助できるのです。このプロセスを通して、自分が本当に求めている目標がうかびあがってきます。質問が終わったら、自分が書いた内容をながめながら、いろいろ感じてほしいと思います。自分でも気がつかないでいた自分が見えてきます。そして、求めていたものが少し見えてきます。
■大人ができるサポート
『頑張れ』『自信を持て』と大人は指導しますが、子どもたちは「どうやったら頑張れるのか」「どうしたら自分に自信を持つことができるのか」という具体的な方法を知りたがっています。子どもたちだって「頑張れる自分になりたい」し、「自信を持ちたい」と思っているのです。
今回紹介した5つの質問は、『頑張るにはどうしたらいいのか』『自信を持つにはどうしたらいいのか』という2つの課題に対して具体的な方法を示すものです。例えば2つめの質問「自分のいいところは何か」をたくさん見つけていくことや、3つめの質問「自分の弱みや、改善したいところは何か」という自覚している弱みを克服していくことは、自信を育てることにつながります。また、第1回目で紹介した「心の声をマイナスからプラスに切り替えていく方法」も、自身を育むための具体的な指導となります。こうして、自分はこの方法を知っているし、この方法を実践しているから大丈夫なんだという感覚が、自分への自信という確信を一つずつ増やしていくのです。「自信を持つ」ことは、安心して頑張れる土台をつくることにもつながります。
また、頑張るための方法としては、1つめの質問から出てきた答えから自分の現在地点を確認し、4つめと5つめの質問で出てきた答えかをヒントにしながら自分の求めている目標を見つけると、目標を達成したくなって自ずと頑張りたくなります。このような具体的な指導によって、子どもたちは自分の中から答えを見つけ出すことを体験して、自分は答えを見つけることができるという自信と安心感が子どもたちの心を成長するのを手助けします。子どもたちは、この活動をするととても感謝してくれます。子どもたちは知りたがっているのです。
次回は、自分の求めている目標を実現していくために何ができるのかを自分の中から見つけ出し、実行にうつしていく『夢実現プロジェクト』ををご紹介します。
「やる気」を引き出すために
■夢に向かって行動するために
夢を持っていても、夢の実現に一歩踏み出せない人は沢山います。どうしたら一歩踏み出して行動に移せるのでしょうか。今回はそのための方法をご紹介しましょう。
この方法は、前回までに紹介した、『夢を見つける魔法の質問』を行ってから取り組むと、より効果が得られるでしょう。
前回紹介した質問を使って自分の目標へのヒントが見つけられたら次に行うのが、『なりたい自分』になる方法を見つける『ウェビング』です。ウェビングによって、自分の現在地点と目標達成地点をつなぐ方法が自分の中から引き出され、行動に結びつくきっかけになります。
【ウェビングの方法】
① A3の紙を用意します。紙の中央に『なりたい自分』と書いて、丸で囲みます。
② どんな自分になりたいかを考えて、浮かんできたことを書いて丸で囲み線でつなぎます。そこから連想できることをどんどん書いて丸で囲み線でつないでいきます。
③ 何も浮かばなくなったら、また振り出しに戻って、今度は違う視点でなりたい自分を考えて浮かんできたことを書き、丸で囲みます。またそこから連想してうかんできたことをどんどん書き、丸で囲んで線でつないでいきます。
④ 実際にどのようにやるのか指導者が黒板などを使って説明したら、15分くらい時間をとって、子どもたちに自由に作業をさせてあげてください。
⑤ どうしても書けない子どもにには、「どんな自分になりたい?」などと質問して、書けるように助けてあげましょう。どんどん書いている子どもには、「いいね」などと承認する言葉がけをすると、もっといろいろ書けるようになります。
⑥ 充分書けたと思ったら、自分が書いたこの用紙を眺める時間を少し取ります。書きながら気づくこともあるし、書いたものを見て気づくこともあります。どちらにしても、自分の中にこんなに沢山アイデアがあることに驚くと思います。
⑦ 次に、書き出した中から一番やってみたいこと(一連の流れ)を選びます。全部やってもいいのですが、行動に結び付けるには、どれをやるのか選ぶことが大切だからです。
※ この作業の中には、指導者が今まで指導してきた内容が反映されることが多いようです。このプロセスを体験することで、今までは与えられてきた練習が、自分のなりたい自分になるために行う主体的な活動へと変化していきます。
■夢実現プロジェクト
ウェビングができたら、次はいよいよ夢実現プロジェクトの企画書をつくってみましょう。このプロジェクトの企画書を書くことのねらいは、夢を実現するとどんなに素晴らしいことなのかを具体的にイメージし、味わうということによって行動へのモチベーションをあげることにあります。夢を持つとその夢が叶うかどうか不安になるときもありますが、その不安に打ち勝つくらいの『夢に向かうパワー』を与えてくれるでしょう。
【夢実現プロジェクトの方法】
これを行うには、夢実現プロジェクト書き込み用紙と、スケジュール表を使って取り組むといいでしょう。
① まず、ウェビングの中に書かれたものの中から取り組んでみたいものを一つ決めます。そして、プロジェクト名を決めましょう。プロジェクト名は、聞いただけでワクワクするような響きのものがいいでしょう。
② 次にこのプロジェクトが成功すると、どうなるのかという成功イメージを具体的に書いてみます。ここに書かれたことがプロジェクトの目指すゴールになるわけです。
③ 次に、このプロジェクトを成功させるために行ったほうがいいことを、5つ以上挙げていきます。ウェビングの中に書いたことを参考にするといいでしょう。これだけやればいいだろうと納得がいくまで挙げたら、これらに優先順位をつけてかっこの中に数字で記入します。
④ 別紙のスケジュール用紙に、いつ何をどれくらい実行するのかということを記入します。これを記入しながら、目標達成までの道筋をたて、先を見通した行動計画に落とし込み、それを実行する覚悟を決めるわけです。
⑤ 次に、このプロジェクトを成功させると、自分にとってどんないいことがあるのかという自分にとっての意味を考えて記入します。この作業をすることによって、今までの練習メニューが、自分にとって意味あるものに変わっていきます。
⑥ 最後にこのプロジェクトを成功させると周りの人にはどのような影響を与えていくことができるのかについて考えて記入していきます。チームにとっての意味として考えてもいいでしょう。この作業を通して、プロジェクトを成功させることで周りの人にとっても役に立つ自分になれるということに気がついていきます。自分が成長することで人のためになるなんて、考えただけでも嬉しくなりますので、より一層強い動機づけができるのです。
■主体者は子どもたちであることを忘れずに
今回は、子どもたち自身が練習に主体的に取り組むための方法をご紹介しました。練習のスケジュールをたてると、何をいつどれくらい行うのかという決意につながりますが、どうしてもスケジュールに書き込んだ練習メニューを消化することに評価が集中してしまいます。けれども大切なのは、目標の達成を意識した練習であって、スケジュールをこなすことではありません。もし、最初にたてたスケジュールの実行が難しいようであれば、行動できるように工夫してスケジュールを変更することが必要になってきます。日々の練習の中で自分の達成したいゴールを確認させて、上手くいかなかったら軌道修正できるように援助してあげてほしいと思います。
また、このプログラムのねらいは、子どもたち自身が『自分の夢のために自分で考えて行動に移す』ということです。主体的に取り組めるきっかけを提供しているので、今までもし練習メニューを全て与えてきたのであれば、練習の仕方を少し切り替えていく部分も必要になってくるでしょう。
走ったり、打ったり、捕ったりと練習メニューは変わらなくても、自分の達成したい目標が明確であるかどうかの違いは、取り組み姿勢や得られる成果に大きな違いをもたらします。自分の目標を意識して、今日はどのくらい進歩したいのか、そのために何をどのくらい練習する覚悟があるのか、実際に練習して今日どのくらい前進することができたのかを振り返り、一歩一歩前進していることを確認するのとしないのでは、成果のあらわれかたが全然違ってくるのです。この積み重ねが子どもたちの自信へとつながります。
『これだけ練習してきたから大丈夫!』というやってきた練習に対する自信と、『これだけできる自分は大丈夫』という自分への自信です。この2つの自信を子どもたちにつけさせてあげていってください。ここで得られた自信は野球での力になるだけにとどまらず、自分を支える力なって、これからの人生で世の中へ羽ばたいていく翼にもなるからです。
次回は、自分への自信を高めることに役立つ『セルフコントロール法』をご紹介します。
ストレスに克つ『セルフコントロール法』
■自分への自信を高めるために
子どもたちに、自分に自信を持てるようになってほしいと願っても、現状には自信を持てない子どもは沢山います。今回は、誰でもできる簡単なセルフコントロール法を使って自分の心をコントロールする方法を学び、「この方法を使えば自分は大丈夫だ!」という気持ちを引き出すプログラムをご紹介します。呼吸を使って気持ちをコントロールする『呼吸法』と、体の中心点を意識して実力を発揮できる体の状態を意識的につくる『センタリング』といういつでもどこでも簡単にできる2つの方法です。
【呼吸法のプログラム】
① まず、今の自分の呼吸に意識を集中していきましょう。今の自分はどのような呼吸をしているでしょうか。呼吸の深さ、大きさ、テンポ、リズムなどを感じてみてください。
② 次に、緊張場面を想像してみます。自分が試合で焦ったり緊張した場面を具体的にイメージしてみましょう。イメージしたら、そのときの呼吸に意識を向けてみてください。呼吸の深さ、大きさ、テンポ、リズムなどは、先ほどとどのように違うでしょうか。
③ 次に、リラックス場面を想像してみます。今度は試合ではなく、ゆったりと心地よい場面をイメージしてみます。例えば、南の島の海岸で、エメラルドグリーンの海をぼんやり眺めていることをイメージして見ましょう。そのときの呼吸を感じてみると、呼吸の深さ、大きさ、テンポ、リズムなどは、先ほどとどのように違うでしょうか。
④ 3つの呼吸の違いを確認してみます。緊張状態では呼吸は浅く早くなり、リラックス状態では、呼吸はゆっくり大きくなります。心と呼吸は密接につながっていることに、気がつくと思います。試しに、ゆっくり大きく呼吸しながら緊張してみましょう。多分、ゆっくり大きな呼吸をしながら緊張することはできないと思います。このことを応用して、呼吸を使って意識的に緊張状態から、リラックス状態を導くのです。
⑤ では、もう一度緊張する場面を想像しながら緊張状態を意識的につくって、できたらゆっくり大きな呼吸をしながら、落ち着きを取り戻してプレーするところをイメージしてみましょう。この方法は、どんなときにも活用できるので、試合や練習で繰り返し試してみましょう。
※呼吸を使って誰でも簡単にできるこの方法をマスターしておくと、子どもたちは「自分は緊張しても落ち着く方法を知っているから大丈夫だ」というように、緊張することを恐れなくなります。また、第1回目で紹介した心の声をマイナスからプラスに切り替える方法と組み合わせるとより効果が発揮されます。
■実力を発揮できる状態をつくる
緊張しても意識一つで実力を発揮できる状態に切り替える方法をマスターしていれば、子どもたちはここぞというときに実力を発揮できるようになり、その体験の積み重ねが自分への自信へとつながります。その状態をつくる方法が、センタリングといって、臍下丹田に意識を集中する方法です。
【実力を発揮する状態をつくるセンタリング】
このプログラムは2人組みで行うとより効果的です。
① 2人組みのペアをつくります。
② 一人が肩幅に足を開き、まっすぐに立ちます。もう1人は、肩の辺りを軽く押してみて、身体がどのようにぶれるのか確かめてみましょう。
③ 次は、立っている人は、おへその下指3本分のところと、身体の厚さのちょうど中心の線が交わる1点を意識してみます。
もう1人は、先ほどと同様に肩の辺りを軽く押して、身体のブレの違いを確認してみましょう。
④ 身体の中心点を意識した状態と、そうでないときの違いをペアで話し合ってみましょう。センタリングがうまくできれば、押してもぐらつかないでいられたと思います。
⑤ ペアの役割を交代して①~④を行ってみます。
⑥ 全体でどのような違いを感じられたのかシェアリングしてみましょう。
■セルフコントロール法で自信を高める援助をする
今回は、子どもたちが緊張してしまう場面でも、気持ちをセルフコントロールしながら実力を発揮できる状態をつくりだす方法を2つご紹介しました。多くの子どもたちは、自分が緊張してしまうことを恐れています。緊張して打てなかったり、エラーしてしまうことを繰り返すと、「また緊張してしまうのではないか」という不安を抱くようになり、「緊張してしまう自分はダメなんだ」と思いこんでしまいます。
しかし、セルフコントロール法を身につけることにより、「緊張しても大丈夫!」と思えるようになったら、どんなときでものびのびとプレーできるようになります。実際に、この方法を子どもたちに指導すると、緊張しても自分は大丈夫だという意識が高まり、硬くならずにプレーできるように変化しているようです。この変化の積み重ねが自分への自信へつながりますので、指導の中でも呼吸やセンターを意識した練習をしてみてください。
また、この2つの方法は試合のときだけでなく、さまざまな場面で効果をもたらしています。一つには、センターを意識しながらプレーすると、動きのキレがよくなるようです。体のブレも改善します。素早く動けるようになるし、ふらつかない状態もつくります。立って話を聞くときも、ふらつかないし、また、集中して話を聞くことができるので理解力も高まるようです。
呼吸法は繰り返し行うことで、感情も安定してくるといわれています。ゆっくり大きな腹式呼吸を日ごろから繰り返していると、動じない心に成長するようです。子どもたちは動じない心を手に入れるために、さまざまな場面で繰り返し練習しているようです。感情にもコントロール感が持てるようになることは日常のストレス場面でも役立ちます。このスキルは野球の枠を超えて、子どもたちにとってとても役立つものですので、是非身につけさせてあげて欲しいと思います。
次回は、試合で落ち着いてプレーするための『イメージトレーニング』をご紹介します。
試合を成功に導くイメージトレーニング
■試合にのみこまれないために
指導者として、試合で思うように動けなくなっている子どもたちに歯がゆい経験をされたことはないでしょうか。選手である子どもたち自身も、良い流れをつくっていきたい気持ちはあっても、試合の雰囲気にのまれてしまったり、相手チームに圧倒されてしまうことはあると思います。そんなときは、イメージトレーニングを活用すれば、試合でも自分たちのペースを保ちながら、自分たちの思うように試合を進めていく手助けになります。イメージトレーニングの中で、事前に自分の思うような試合運びになるような良いイメージを繰り返し思い描き、徹底的に自分に焼き付けておくのです。悪いイメージは、悪い結果を引き起こしてしまいますので、どんな状態のときでも、良いイメージを持って試合に臨むことが大切です。今回は、試合を成功に導くイメージトレーニングを紹介しましょう。
■試合をイメージしてみよう
まずは次の試合を想像してみてください。具体的な対戦相手や日程が決まっていれば、その試合を思い描けばいいのですが、もし、次の試合が決まっていなくても、想像の中でつくってもいいのです。選手でなくても選手として出場するつもりでイメージしてください。また、目指している大会があるのなら、その大会をイメージしてもいいでしょう。空想の中でタイムマシンにのって、その試合を見に行きましょう。その試合はどんな展開になったとしても、自分の望むように試合を進めることができる試合です。
それは、どんな試合会場でしょうか。周りには何が見えますか。周りには誰がいるでしょうか。イメージの中で見えるものを細かいところまで詳しく見ていきましょう。
その会場にいる自分に意識を向けてください。そのとき、自分はどんな気持ちになっているでしょうか。どんなことを感じているでしょうか。どんな気持ちになっていたとしても、今からの試合は自分の思うように試合を進めることができます。
試合会場に着きました。試合会場に着いたら、まず何をするでしょうか。荷物を置いて練習の準備をするところをイメージしてみましょう。
練習がはじまります。まず、いつもの練習をしながらグラウンドのコンディションを確認します。そのあとどんなふうに練習するのか詳しくイメージしてみましょう。
練習が終わって集まりました。試合開始までの間は、どのように過ごすでしょうか。
いよいよ試合がはじまります。守備についてもいいですし、打席が回ってくるまで順番を待つところでもいいのでイメージしてみましょう。
1回の表が終わりました。どのような試合展開しているでしょうか。相手が強くても焦ることはありません。しっかり守って、声を出し合いムードをつくっていきましょう。
1回の裏が終わりました。相手のチームの実力がわかりました。でも焦ることはありません。自分の力を最大限に発揮することだけに集中しましょう。
2回の表、裏と進んでいきます。自分の守っているところにボールが飛んできました。あなたは、「絶対捕ってやる」心の中でプラスの言葉を繰り返しながら、ボールを確実にキャッチし、送球します。
自分の打席がそろそろまわってきます。。心の中では自分自身にプラスの言葉をかけます。「大丈夫!打てる!」そう心でつぶやきながらあなたは準備をします。ウェイティんグエリアで深呼吸をして、いよいよバッターボックスに立ちます。「打てる!」と心でつぶやくながらボールに集中します。その後、どんなボールがとんできて、どんなボールを打っていくのかまでイメージしてみてください。
打ったらどんなふうに塁にでるのか、塁に出てからはどんなふうに進んでいくのかまでイメージしてみましょう。
その後も試合はどんどん続いていきます。相手チームの反撃もイメージしながら、そのときどう対応するのかをイメージしてみましょう。もし、ピンチの場面が頭に浮かんできても打ち消さなくてもいいのです。そのピンチをどうやって切り抜けるのか、ピンチの乗り越え方までイメージで繰り返しておけば、本番でも焦らずに、想定の範囲内として対処することができます。納得のいく結果が得られるまでイメージを繰り返し、いいイメージの回路を自分の中につくってください。
そのようにしながら、試合の最後まで詳しくイメージしていきます。
試合がイメージし終わったら、その後の表彰式までもイメージしておくといいでしょう。
どうでしたか?うまくイメージできたでしょうか。子どもたちはイメージできているようでしょうか。イメージするのが難しいようであれば、紙に記入しながら、イメージをすすめていくことも効果的です。
このイメージトレーニングは、普段の練習の中で時間を10分くらいとってみんなでやってみてもいいですし、一度やり方を理解したら、それぞれが時間を見つけて何回も何回もイメージを繰り返すように指導します。例えばお風呂に入ったときや、眠る前に布団の中でやってみたり、電車に乗っているときなど少しの時間を活用して繰り返すと効果が高まります。1日だけでなく、何日も繰り返して行うことをお勧めします。
また、練習の中でも、その試合でプレーしているところをイメージしながら練習するというように応用しても効果的です。イメージの中で予行練習しておくことが大切なのです。
チームによっては朝起きるところからイメージさせ、起きたら何をするのか、どのように身支度し、朝ごはんは何をどれくらい食べて、集合場所までどうやって行くのかというところからイメージさせて紙に書かせているところもあるようです。
私自身が現役の頃は、試合のシーンだけを何十回何百回とイメージしていました。イメージの力の凄さを知ってからは、試合だけでなく手に入れたい未来を何度もイメージして自分の力になるように活用しています。イメージは現実を導く力があります。はじめはイメージすることは難しいことかもしれませんが、イメージトレーニングを活用することで得られる結果を確認すれば、どんどん上手に活用できるようになると思います。
■指導のポイント
【イメージは現実になる】
『イメージは現実になる』とか『成功は2度創られる。一度はイメージの世界で、2度目は現実の世界で。』という言葉を聞いたことはないでしょうか。これらの言葉が示すように、イメージすることが、現実の試合場面でも素晴らしい力となって味方についてくれます。成功の鍵は、良いイメージを如何に持ち続けることができるかにかかっているといえるでしょう。けれども、多くの子どもたちは悪いイメージを持っていることのほうが多いのです。悪いイメージを持って不安を抱きながら試合をすれば、良い結果になることは難しいでしょう。ですから、イメージトレーニングを行って、良いイメージを確立し良いイメージの回路をつくることで、子どもたちを援助することができます。試合以外のあらゆる場面で、子どもたちをサポートするために『イメージトレーニング』を活用してください。
【イメージトレーニングを成功させる鍵は】
良いイメージを持ってプレーするということは、実力を発揮するためにとても重要なことです。ですから、試合で良いイメージを持ってプレーできるようにイメージトレーニングを行って、良いイメージの回路をつくることが大切なのです。良いイメージを持ってプレーするために必要なことは、イメージトレーニングだけではありません。もう一つ鍵を握っているのは、選手である子どもたち自身が「ベストなプレーが自分にはできる!」と信じられるかどうかにかかっています。いつも自分のプレーの改善点ばかりを指摘されるだけでは、子どもたちは自分を信じることができませんが、自分のプレーの良いところを具体的に指導者に伝えられると、自分を信じる上で大きな力となります。ですから、試合前は特に意識して、子どもたちが自分のプレーと自分に自信が持てるような言葉を意識的に多くしていくことがポイントとなるわけです。「自分は試合でも実力を発揮できる自分である」と信じることができてはじめて、イメージトレーニングは成功へと導いてくれるのです。
次回は、弱点を克服し、自分の幅を広げるためのイメージトレーニングをご紹介いたします。
プレーの幅を広げるイメージトレーニング
■苦手なプレーを克服する
みなさんは、子どもたちの苦手なプレーを克服するために、どのような指導をされていますでしょうか。一般的な指導法としては、直すポイントを指摘したり、身体の使い方を説明するという方法が多いようです。しかし、子どもによっては、なかなか注意したことを改善できないで苦労していたり、苦手意識を持ってしまうこともあるようです。
今回は、イメージの力を借りて、苦手なプレーを克服したり、プレーの幅を広げていく指導法をご紹介したいと思います。
■イメージの力を確認しよう
まず最初に、イメージの力がどれだけ自分のプレーに影響しているのか、実験で確かめてみましょう。
① 野球の下手な弱い選手になったことをイメージしてみましょう。顔の表情も、姿勢も、身体の力の入れ方から考える内容まで、弱い選手になりきって立ってみましょう。次に、弱い選手になりきってバッターボックスに向かうことをイメージして歩いてみましょう。そしてバッティングの構えとスウィングや守備もやってみてください。どんな感じがするでしょうか。
② 次は、野球の上手い強い選手になったことをイメージしてみましょう。自信もあり、冷静で判断力もある選手になりきります。顔の表情も、姿勢も、身体の力の入れ方から考える内容まで、強い選手になりきって立ってみましょう。次に、強い選手になりきってバッターボックスに向かうことをイメージして歩いてみましょう。そしてバッティングの構えとスウィングや守備もやってみてください。どんな感じがするでしょうか。
③ 弱い選手になったときと、強い選手になったときでは、どのような違いがあったでしょうか。ペアで話し合ってもいいでしょう。
イメージが気持ちや体の動きにも大きく影響していることが確認できたと思います。
上手くて強い選手になりきると、自分自身の知らない領域の技術レベルも、役を通して体験し始めることができるようになります。このことを利用して、苦手なプレーを克服することに役立てます。
④ 次に自分のプレーの克服したい部分をなるべく具体的に、それぞれ紙に書き出していきます。
⑤ 自分の苦手なプレーを得意とする選手を見つけてみましょう。有名なプロ野球選手でもいいですし、海外の選手でもいいです。自分の苦手な要素をカバーできる人物であれば、野球以外の選手でも、マンガなどの主人公でもかまいません。一人出なくてもいいので、何人か挙げてみましょう。
⑥ 今見つけた選手になったつもりで、その人になりきってみましょう。顔の表情、考え方、立ち方、歩き方、プレーも真似てみます。
⑦ 練習でも、苦手なプレーを練習するときにその人のイメージを使って練習してみましょう。
■苦手なプレーを克服する
このイメージトレーニングは、普段の練習の中で時間を10分くらいとってみんなでやってみて、一度やり方を理解したら、イメージするだけでいいので、練習の中でそれぞれが自分の頭の中で、何回もイメージしながら練習を繰り返すように指導します。1日だけでなく、何日も繰り返して行うことで、確実に自分のイメージとして取り込まれていきます。
■自分のプレーの幅を広げる
野球をはじめてしばらくすると、多くの人が特定のスタイルにはまりこみ、抜け出せなくなることがあります。このはまりこんだ自分のスタイルから、自分の殻を破って可能性の幅を広げるためには、今回紹介した自分と正反対にある選手を演じるイメージトレーニングが役に立つと思います。是非、子どもたちのプレーの幅を広げるために活用してみてください。
私自身が現役の頃は、世界でトップレベルの選手たちのいいところのイメージを活用していました。ダイナミックなプレーのときはこの選手のイメージ、繊細なプレーではこの選手のイメージ、スタミナがきれてしまっても気力を振り絞って動くときは、マンガ「リングにかけろ」の矢吹ジョーになったつもりで、気力を奮い立たせていました。いろいろな活用の仕方ができると思います。
ただ頑張るだけでは辛い練習のときでも、自分の好きな選手のいろいろなパワーを借りれば、克服する力となって自分の幅を広げてくれることでしょう。
■子どもの可能性を広げるイメージトレーニング
【精神的な成長も促すことができる】
このプログラムのすごいところは、プレーの領域を飛躍的に拡大する効果があるだけでなく、同じ方法を活用することで、精神的な成長へとつなげることもできます。
自分が限定してきた自分の人格やプレーヤーとしての限界の枠を超えて、それ以外の人格やプレーができるということをこのメンタルトレーニングで確認すると、好きなときに好きな自分を引き出すことができるようになります。
誰でも自分とはこういう人間で、このくらいの実力がある選手であるというように、自分のイメージを決めているものですが、その自分に貼ったレッテルを貼り直してみると、もっと違う可能性をもっていることに気がつくことができるのです。
野球の場面だけでなく、対人葛藤場面やストレス場面でも、この人だったらどのように考え、どのような言動で対応するのかということを具体的にイメージすることで、今までとは違った対応の仕方を学ぶこともできるようになります。悩みや困難を乗り越える意味でも役立つのです。
【言葉による指導の限界】
「言葉による指導の過剰は、プレーヤーの能力を妨げる」という報告があります。言葉によって技術を伝えると、体験と切り離されたかたちで、頭の中に蓄積され、理論の記憶と実体験の記憶が別々になってしまうことがあるというのです。その結果、余計な力が入るようになったり、動きがぎこちなくなったり、自分の動きへの自信を失ったり、意欲が減退することもあります。
しかし、良いプレーや強い選手の雰囲気ををイメージとして捉えると、言葉での説明ではなく視覚的な体験として入り、変化が自然に生じてきます。余計な力が入ることもなく、動きは自然な形で習得され、楽しく、自信もついてきます。
自然発生的な動きの習得として、例を挙げると、かばの親は子どもに泳ぎを教えるとき、言葉で指導することはありませんが、子どもは親の泳ぎを見て自然に泳ぐことができるようになります。しかも、力んで泳いでるかばはいないし、泳ぐのが下手なかばもいません。それと同じで、人間も、良い動きを見せてイメージさせることで、自然発生的に技術を身につけることができる。これは技術的な上達の近道ということができると思います。
イメージできたことは、それを実現できる可能性は無限にあるといいます。良いイメージを持てさえすれば、良いプレーができる可能性も高まるということです。指導者にできるサポートは、選手たちに良いプレーをどれだけ見せたり、体験させることができるかということではないでしょうか。
言葉による指導に頼るだけではなく、誰もが持っているイメージの無限の力を活用して、メンタルな面からも、子どもたちの可能性を広げていって欲しいと思います。
次回は、スランプを乗り越えるメンタルトレーニングをご紹介いたします。
スランプを克服する5つの方法
■スランプは人それぞれ
スランプと一言で言っても、その内容はさまざまです。記録の停滞や伸び悩み、プレーの癖に悩んだり、怪我もあるでしょう。レギュラーになれない、ミスが続く、試合で緊張して実力が発揮できない、スタミナ切れまでその種類もさまざまだと思います。こんなとき、子どもたちにどのような指導ができるのでしょうか。
スランプに陥る人は多いのに、スランプに陥ったときの対処法を知っている人は少ないようです。スランプを乗り越えられないで競技をやめてしまう人もいます。
今回は、スランプの克服する5つの方法をご紹介したいと思います。
■良いイメージで克服する
前回と前々回に、イメージの力を使ったメンタルトレーニングを紹介してきましたが、スランプの克服法についてアンケートをとった結果、良いイメージを思い描いて、そのイメージで自分はできると信じる方法を使ってスランプを乗り越える人が一番多くいました。
スランプのときは、マイナス思考に偏る傾向があり、不安との戦いになります。これを克服するには、やはり「自分はできる!」と信じることと、信じるために良いイメージを活用することが一番です。みなさんも、日頃から良いプレーのイメージを描く習慣をつくり、「自分には必ずできる!」と繰り返してスランプを乗り切ってください。
① 自分がこんなプレーをしてみたいというプレーを鮮明にイメージしてみましょう。そしてそのプレーをしている自分になりきります。頭の中で何回も何回もそのイメージを繰り返します。良いイメージを自分のものとするためには、良い選手の好プレーの映像を繰り返し見るのも効果的です。
② 次に、「こんなプレーができる自分には、必ずなれる!自分にはその力がある!自分はできる!」と心の中で繰りかえしてみましょう。
私たちには、イメージできたことは実現できる力があります。イメージの力を信じて、自分を信じていくことが大切です。
■積極的休息で乗り切る
休息というと、罪悪感を感じてしまう選手が多いようです。私自身も、現役の頃は「休んではいけない。休んだら負け」という想いが頭にあって、怪我をしても病気になっても、精神的に疲れていてもどんなことをしても練習から離れられませんでした。しかし、病気や怪我のときだけではなく、実際に良いプレーヤーは休息を上手く取り入れ、精神的にも体力的にも充電して次へのステップにつなげています。
イチロー選手の著書のなかにも、「まず、身体をゆっくり休めて、野球がやりたくなるまで待ちます。」という言葉がありました。どんなスポーツでも「やりたい」気持ちでプレーすることが大切です。特にスランプの時には「練習時間を短く切り上げたり」「休むこと」を上手に使いながら、「やりたい」と思う気持ちを十分に感じることが大切です。
① まず、自分の気持ちを整理するために、積極的休息は大切なことなんだと心に決めて、休息する。
② 野球がやりたくなるまで待つ。
③ 「野球が好き」「野球がしたい」「こういうプレーができる野球選手になりたい」という気持ちが湧いてきたら、自分は何がしたいのか言葉にしてみます。
④ その言葉を書き出してみましょう。見えるところに貼りだしてもいいし、よく目にする日誌の表紙の裏などに記してもいいと思います。
⑤ 気持ちの切り替えができたら、新たな気持ちで練習に復帰しましょう。
■元気になる何かをする
人それぞれ、元気になる何かは違うと思いますが、『自分にあった元気になる方法』を見つけることも効果的です。誰でも、自分に元気をくれる歌や、マンガ、映画、遊びなどなんでもいいのですが、それをするとなんだか元気が湧いてきて、心のチャンネルをマイナスモードから、プラスモードに切り替えられるものを見つけておくといいのです。
スポーツ選手の中には、試合の前にCDなどを聴いて心のコンディションを整えている光景をよく目にすると思いますが、この方法はスランプでマイナス思考になっているところを切り替えるのにも役立ちます。
■練習の方法を変えてみる
同じ練習を繰り返していると、成長の段階で伸び悩むのは当たり前のことと言えるかもしれません。スランプは、何かが上手くいっていないというシグナルなのです。そのシグナルをキャッチしたら、もう一度基本に戻って、練習方法を見直したり、今までの練習のやり方を変えてみるということをお勧めします。
自分の尊敬している人にアドバイスをもらったり、もしわかれば、尊敬する選手の練習法を取り入れてもいいと思います。視点を変えて取り組むことが、スランプを克服する上で役に立つと思います。
■成長曲線で客観視する
スランプになると、どうしても不安にどっぷりとつかってしまい、精神的に追い詰められて苦しむことが多いようです。そのような状態では、自分の未来を客観視することができなくなります。そんなときに、もう一度冷静に、スランプを考えるために、成長曲線を使って客観的に自分を見直すことが効果的です。
成長曲線というのは、自分の成長を曲線で表したものです。横軸が自分が努力している時間で、縦軸が成長の度合いです。まっすぐに、右斜め上に線が伸びればいいのですが、ほとんどの人は、このグラフが示すように、成長する上でこのような曲線を描くといわれています。
横軸に平行なときが、スランプを示しています。この線を見てもわかるように、多くの人は成功するまでに、少なくとも3回はスランプがあるようです。このスランプのときに、あきらめて辞めてしまえば、そこまでの選手で、スランプでも粘り強く続けられる人が、成功できる選手です。自分はどちらを選びたいでしょうか。選ぶのは自分次第なのです。
この成長曲線を使うことで、今の自分は成長の一過程に過ぎないということが理解できます。このことを理解すると、今自分はどこにいるのか、今後はどのようにしていきたいのかという先を見通して考えることができるようになります。スランプに陥ったままではなく、自分にはその先の輝かしい未来があることをイメージできれば、スランプを乗り切る力となるようです。
私は、スランプに陥っているときに限らず、みんなにこの話をしています。スランプははたから見てもわかりにくいこともあり、子どもたちはそれぞれ悩んでいることが多いので、この話をすると子どもたちは自分にあてはめて考え、乗り越える決意をあらたにしていることも多いからです。
■大切なのは自分を信じる
スランプを乗り越えるための5つの方法をご紹介しましたが、やはり一番大切なのは、「もう限界」と思うのか、「もう少しやれる」と思うのか、という『心の声』なのです。
「もう限界」と思えばスランプは乗り越えられません。「もう少し頑張れる」と自分を信じることができれば、スランプに苦しんでいても、あきらめずに粘り強く頑張り続けることができます。スランプは自分の精神力との戦いなのです。「絶対負けない!」「自分は乗り越えられる!」という強い意志でスランプを乗り越えて欲しいと思います。
将来にも役立つ克服パターン
スランプの克服パターンについて、学生時代にスポーツ選手だった社会人にアンケートをとりました。そしてわかったことは、スランプの克服法を知らずに、自己流で試行錯誤して悩んでいた選手が多かったことです。多くの人が通るスランプですので、なるべく有効な方法を多くの人と共有していけたらと思います。
また、選手時代に身につけたスランプの克服パターンは、現役選手を引退して社会に出てからも、その後のさまざまな局面で活かされているということがわかりました。スポーツを通して身につけた乗り越えるパターンが、自分の力となって体の中に刻まれるのです。このことは、子どもたちの心の発達にとても大きな意味を持っていると思います。
私自身が子どもたちと接している中で、スポーツでのメンタルトレーニングを行うときと、スポーツ以外の場面でメンタルトレーニングを行うときの子どもたちの変化の違いを比較してみると、圧倒的にスポーツの場面でメンタルトレーニングを学んだほうが、身につく確立が高かったのです。
自分が選んで行うスポーツであり、一つの目標に向かって継続的に練習するという性質があり、しかも、結果が目に見えて現れてフィードバックされるスポーツは、心を鍛えるのに最適な機会になりえるということがわかりました。
是非、この絶好のチャンスを活かして、子どもたちの心を成長させてあげるために、メンタルトレーニングを活用してください。
心のコンディションを整える
■心のコンディション
シーズンに入ってくると、身体のコンディションを整えることが大切になってくると思いますが、実は身体と同じぐらい『心のコンディション』を整えることが大切です。心の状態が悪ければ、練習にも実が入らず、試合で集中することも実力を発揮することもできないからです。練習でも試合でもよい結果を残すことができるように、今回は『心のコンディション』を整える方法をご紹介します。
心のコンディションを整えるには、『心の栄養を補充すること』が必要です。身体の栄養が不足すると調子が悪くなったり、病気になったり死んでしまいますが、心の栄養が不足すると、やる気がなくなったり、マイナス思考になる、心配で集中できない、暴れる、病気になる、死ぬというような症状がでてきます。心は目には見えませんが、心に栄養を補充しながら心のコンディションを整えることは、野球の試合で良い結果を出すことだけでなく生きていく上でとても大切な意味を持っています。最近では心の病も増えていますから、自分で自分の心の状態をコントロールできるように『心に栄養を与えていく技術』を教えていく必要があると思います。
■心の栄養を補充する
ますは心の栄養状態をチェックするところからはじめましょう。心の栄養状態を%で表してみましょう。心の栄養状態が80%以上あると、なんだか嬉しい気持ちであったりウキウキするような感覚があったり、ものごとを肯定的に受け取ることができて考え方もポジティブに考えることが自然とできる状態です。50%ぐらいになると、嬉しくもないけど辛くもなくて、ただたんたんと過している状態です。30%未満になると、感情の起伏も激しく、ものごとの受け取り方は否定的で、考え方もネガティブになったり、むしゃくしゃしたりイライラしたり、すぐに悲しくなったりする状態です。さて、皆さんや皆さんの選手たちの今の心の栄養状態は、何パーセントぐらいでしょうか。自分の心と向き合って自分の感覚で数字を出して左の表に色を塗ってみましょう。
(表が入る)
さて、どのくらいの栄養が想像できたでしょうか。学校をまわっていると、子どもたちも先生方も栄養が足りていないと自覚されている人がものすごく多いことに驚かされます。30%ぐらいと記入されている人が多いのです。30%といえば、ものごとを否定的に受け止めてしまったり、考えてしまう状態と説明して記入してもらっていますので、言い換えれば、多くの人が否定的な思考に苦しんでいる状態といえます。この状態では、野球に対しても、未来に対しても否定的に考えてしまうことも多くなるでしょうし、心に余裕がないので、八つ当たりしたり情緒不安定になってしまっても仕方ない状態といえます。
ですから、自分のためにも自分をもう少し大切にして、心の状態をケアすることが大切になってきます。
【心の栄養になるものは?】
それでは、具体的にどのようなことが自分の心の栄養になるのでしょうか。そのヒントは、今までで一番やる気が湧いてきたときにあります。子どもたちに次の質問をしてみてください。
生まれてから今までの間を振り返って、一番やる気が出た時のことを思い出してみてください。どのようなときやる気が出たでしょうか?
やる気が出た理由は人それぞれかもしれませんが、共通点が見つけられると思います。例えば、認められた、褒められた、期待された、信用された、実力に見合った課題が示された、自分が行うことによって喜んでもらえる結果が得られた、感謝されたなどです。その他にも自分にとって嬉しいことを見つけていくと、何が自分の心の栄養になっていくのかが見つけられます。
嬉しいことを見つけてみましょう。野球に限ったことでなくていいので、自分はどんなとき嬉しいかを考えてみましょう。
例えば心の栄養になるものには、笑顔、話を聴いてもらう、一緒に何かをする、信頼される、実力を認めてもらう、マッサージ、言葉がけ、食事を御馳走してもらうなどがあります。イチロー選手の子どもの頃のエピソードとして、イチロー選手の父親が練習につきあい、マッサージを毎日欠かさなかったことなどがありますが、これらも心の栄養となりますから、強くなる選手を支えてきたものも心の栄養だったといえるでしょう。
また、心の栄養は人からされることだけではありませんから、自分で自分の心に栄養を与えていくこともできます。自分を大切にしたり、自分にとって心地よいことをすることも心の栄養になります。例えば、お風呂にゆっくり入る、身体にいいものを食べる、睡眠を充分とるなどのように身体をいたわったり、自分のいいところを見つけて自分を褒めたり、褒められたり認められたり試合に勝つなど自分にとって心地いいイメージを思い浮かべることも心の栄養となります。過去の誇らしかったことを思い出すことも効果的です。これなら人に頼らずに自分で自分の心をケアできます。次の質問に答えながら心の栄養を満たしていきましょう。
① あなたが得意なことや好きなことは何だろう。
② あなたが嬉しいことは何だろう。 いくつでもいいから挙げてみよう。
③ あなたが幸せを感じるときはどんなとき?
④ 今までのできごとの中で、一番誇らしかったことはなんだろう?
⑤ 今までで、一番頑張ったことは何かを思い出してみよう。
⑥ あなたが感謝していることはなんだろう?
⑦ 今の自分にできる自分を大切にできることはなんだろう。
【心の栄養を蓄えるために必要なこと】
心の状態はその状況によってもことなります。けれども心の栄養は、プラスの栄養が一つ入ると、マイナスが一つ出ていくというメカニズムになっていますから、心の状態がよくなかったり不安定なときは、自分で自分の心に栄養を補給していけばいいわけです。
(イラスト)
【与えれば循環して返ってくる】
心の栄養補給は自分でもできることをお伝えましたが、実は、人に与えていくと与えた分だけ循環して自分に戻ってくるという法則があります。人に与えると減ってしまう気がして損したように感じる人もいますが、実は反対です。自分からいろいろな人に発信していくとどんどん自分に返ってきますから、心の栄養を自分に与えていくと同時に、人にもどんどん与えていくようにしてみましょう。また、心の栄養が満たされた環境をつくっていくと、周りの人の心の状態も良くなるので、自分にとって居心地のいい環境が整い、チームも安定して強いチームになっていきます。
(イラスト)
【心に栄養が溜まらない5つの思い込み】
いくら栄養を与えようとしても心に栄養が蓄えられない人がいます。5つの思い込みが心の栄養を貯まらないようにしているのです。この5つの思い込みがないかどうか自分に質問してみましょう。
1. 人を褒めてはいけない(人に心の栄養を与えてはいけない)
人を褒めたら損をするとか、褒めたらつけあがるという考えが相手に心の栄養を与えることを阻止しています。人に与えないと自分にも返ってこないので、結局心の栄養が溜まらない結果になってしまいます。
→ 人を褒めてもいい。自分から褒めていこう
2. 褒め言葉を受け取ってはいけない(心の栄養を受け取ってはいけない)
「いえいえそんな、自分なんてまだまだです」というように、せっかく褒められても謙遜することが正しいという思い込みが、心の栄養が溜まらない状態を作り出してしまいます。ですから、褒められたら「ありがとうございます」と受け取るようにしていきましょう。
→ 褒め言葉や嬉しいできごとをを受け取っていい
3. 欲しい言葉やして欲しいことを要求してはいけない
人に褒めてもらうことを要求するなんてできないと思う人が多いようです。けれどもどうしてもこのポイントを認めて欲しいというときは誰にでもあります。あなたの欲しいものはあなたしかわからないのですから、褒めてくれる人を見つけておくと、心の栄養補給に役立ちます。
→ 褒めて欲しいときや見て欲しいとき、して欲しいことは具体的に表現していい
4. 欲しくない褒め言葉も受け取らなくてはいけない
ときには嬉しくない言葉をもらってしまうこともありますが、自分にとって嬉しくない言葉をもらうと不快になってもあたりまえですから、もし嬉しくない言葉をもらったときは、受け取る必要はありません。
→ 欲しくない言葉は受け取らなくてもいい
5. 自分自身を褒めてはいけない(自分自身に心の栄養を与えていい)
自分を褒めることに抵抗がある人がいるようです。けれども人からの褒め言葉を待つより大切なのは、自分で自分のいいところをどんどん見つけていく習慣を持って自分の心を安定させることです。「自分はできる」「自分はすごい」などと心の中の声でいいので、どんどん褒めていきましょう。
→ 自分自身を褒めて良い(心の栄養を自分に与えてもいい)
■指導者や親など周りの大人ができるサポート
まじめに取り組んでいる子どもたちほど、自分自身に課するレベルが高く、そのレベルに達しない自分に苦しんでいる場合が多いようです。それは指導者には見えにくい部分です。確かに自分に果たすレベルが高いほうが、取り組み具合もよく成長の度合いも大きいかもしれません。けれどもメンタルヘルスの観点からは厳しい状況に追い込まれてしまうようです。その状況を打破するために、心の栄養という視点を持ち、間違った思い込みという呪縛をといて、健全な心の状態でいられるようにサポートしてあげて欲しいと思います。子どもの頃の思い込みや自分への要求の高さとそれに伴う自分への評価の低さは、大人になっても持ち越すことが多いので、大人になってから心の歪が生じて苦しんでいることが多いようです。少年期はそういう意味でも思い込みを修正するチャンスですので、周りにいる大人が支えてあげて欲しいと思います。
「しなければならない」という自分に課するレベルに達するための練習は本人にとっても苦しいものです。しかし、心のコンディションを整えながら自分の夢に到達するために「こうなりたい」と思って行う練習は、楽しくて心にも良いものです。是非後者になるためのサポートをお願いします。
気持ちの切り替え法を身につけろ!
■勝利の鍵を握る気持ちの切り替え
そろそろ夏も終わりですが、今シーズンはどのような気持ちや考え方で、試合や練習に臨んできたでしょうか。試合などを見ていると、やはり気持ちの切り替えはとても重要であることがわかりますが、気持ちの切り替え方がわからないで実力を出せない選手も多いようです。
気持ちや考え方には人それぞれパターンがありますから、自分の考え方や気持ちの持ち方を振り返って、自分のパターンに気づき、必要に応じてそのパターンを打破して、気持ちを切り替えていく方法を身につけましょう。
今回紹介するプログラムは、ワークシートを使って、自分の気持ちや考えを書き出して、客観的に見ながら、自分の意志で気持ちを切り替えていく方法です。
■気持ちの切り替え法
気持ちの切り替えは、はじめは書き出して客観的に眺めることが必要ですので、右のようなワークシートを使うと効果的に行うことができます。
(ワークシート)
① 今シーズンの試合や練習を振り返って、うまくいかなかったときの状況を思い出してみましょう。そして、そのときの心の声に耳を傾け、心の中で考えていたことを書き出してみましょう。書き出せたら、書き出した内容を眺めてみます。
② 書き出した考え方に対し、5つの質問をしてみましょう。
Q1.この考えは事実に基づいているか
Q2.この考えは望ましい結果をもたらすのに役立っているか
Q3.この考えは悩みや問題を解決するのに役立っているか
Q4.この考えは望ましい気分をもたらすものか
Q5.この考えは本当にあなたが求めているものか
③ 5つの質問でNOがあったら、今度は望ましい結果をもたらす考え方にチェンジできるように考え方を書き直してみてください。そのときに、右のキーワードを活用すると、よりパワフルな内容に書き直すことができるかもしれません。
イラスト1、野球少年が、自分の考え方を振り返ってチェンジしているイラスト
ワークシートを1人1枚ずつ配布して、最初はみんなで一緒に時間を区切りながらやってみるのがいいと思います。特に、5つの質問では、事実ではないことを事実だと思い込んでいることに気づくように、子どもたちが陥りやすい考え方の具体例を示しながら説明するといいでしょう。
例えば、「相手チームは強いのだから、自分のチームは負けるに決まっている」という思い込みがあれば、「相手チームは確かに強いけれども、まだ負けると決まっているわけではない」と切り替えることができるとか、「相手チームのピッチャーの球は速いので、打てるわけがない」という思い込みについては、「相手チームのピッチャーの球は確かに速いが、自分にだって打てる可能性はある」というように考えを切り替えることができるので、自分の考え方が必ずしも事実ではないというこを伝えてください。また、考え方を切り替えることによって、そのときの気分や希望、身体の状態が大きく切り替えていくことができるということを具体的に伝えてください。
望ましい結果や気分をもたらすキーワードについても、指導者自身の子どもたちに伝えたい言葉をワークシートに載せて説明するといいと思います。
グラウンドでの練習だけでは、自分の考え方と客観的に向き合うことが難しいですので、苦しい試合を戦った後などに振り返るとより効果的に、子どもたちの心に届くと思います。是非、時期を見計らって試してみてください。
■気持ちの切り替えを学ぶチャンスを子どもたちに
今回紹介したプログラムは、サイモントン療法をヒントにして、スポーツの場面で活用できるようにアレンジしたものです。
普段私たちは、心の中でどのような気持ちや考えでいるのか気づかないまま行動して、心の中の考え方の影響を受けた行動の結果を手にしていることが多いのですが、そのままだとうまくいかないこともあります。
本当に望む結果を得るためには、必要に応じて考え方を切り替えていくことが大切ですが、ここで紹介した方法を繰り返していくと、自分の考えに対して客観的になる習慣が身につきます。気持ちの切り替えは、大人にとっても難しい課題だと思いますが、心が柔軟なこの時期に、客観的視点を持って考え方を修正し、気持ちを切り替えていく方法を身につけて欲しいと思います。この心のスキルは、さまざまな場面で自分を支え、良い方向へと導く助けとなるでしょう。是非、繰り返し試してみてください。
やる気を引き出し行動を起こす!
■一年の計は心にあり
新しい年になって、今年の目標を立てた人も多いかもしれません。目標はたてたものの、やる気がでなかったり、日々の練習に結びつかなければ意味がありません。目標をたてたときに大切なのは、心の状態をいかに良い状態に維持できるのかということです。その目標を達成できるかどうかは自分の心の状態にかかっているといっても過言ではないでしょう。今回は、自分の目標を実現するために大切な、やる気を引き出し、今の行動に結び付けるプログラムをご紹介します。
今回紹介するプログラムは、ワークシートを使って、自分の中から、自分にとっての意味や価値を引き出し、そして今何をすべきかを引き出していく方法です。
■目標を達成することの意味を見つけよう
私たちは目標を持っていても、その目標が実現したらどのようなことが起こるのか、その目標を実現することは自分にとってどのような意味があるのかに気づいていないことが多いと思います。このことに気づくと、もっと心の底から意味を感じて日々の時間を過ごすことができるようになります。
【プログラム】
まず、人数分の紙と書くものを人数分用意しましょう。できれば、ワークシートを活用すると流れがスムーズのできると思いますが、ワークシートがなくても紙があればできます。一人でもできますが、2人組でやるとより効果的です。1人がインタビューアーになって、②からは、質問をつかって相手の考えを引き出して書きとめていってあげましょう。役割は最後まで終わってから交代します。
① 仕事で実現したい目標を考えてみよう
はじめに「自分はどうなりたいのか」「何を実現したいのか」をそれぞれ自分で考えて、肯定的な表現で自分で紙に書いてみましょう。ここでは野球を通しての夢で考えるといいと思いますが、野球以外の場面でも活用できます。
② この夢が実現したらどんなことが起こりそう?
①で見つけた目標が実現したら、どのようなことが起こりそうかを想像してどんどん書いていきます。自分で書いてもいいですし、ペアになって相手に「この夢が実現したらどんなことが起こりそう?」と質問して、出てきたことをどんどん相手の紙に書きとめてあげるとなおいいと思います。このとき書いてあげる人は、「いいね」と肯定的に聞いてあげることがポイントです。
(イラスト)
③ この夢を実現することはあなたにとってどんな意味がある?
次に「この夢を実現することは、あなたにとってどんな意味がある?」という質問を使って、②と同じようにペアで聞いて書き留めてあげるか、自分で書き出してもいいでしょう。この質問は1回だけでなく、相手が答え終わったら「意味」を「いいこと」や「価値」などの言葉に代えながら繰り返ししていきます。その時々で思いついたことをどんどん応えてもらい書き取っていきます。何度か繰り返して、相手から同じような答えが返ってくるようになったらそこで止めますが、そこまでは続けてください。
④ 書き出したことを「そして」でつなげながら読んであげましょ
「~さんにとって、○○を実現することは、○○こういう意味があって、そして、○○こういう意味があって、そして......~こういうことなんですね」というように、「そして」を使ってつなげながら、今書き出したことを読んで言葉で聞かせてあげます。このことによって自分でも気づいていなかった自分にとっての意味に気づき、確認していくことができます。
⑤ 感じたことを自由に振り返る
ここまでの一連の流れを振り返ってどんな感じがしたか聞いてみましょう。聞いてもらった人は「こんな感じがしたよ」というように自由に感想を伝えあいましょう。
⑥ 実現するために何をすればいい?
次は、「その夢を実現するためには何をすればいい?」という質問をします。インタビュアーは答えをメモしてあげてください。「他には?」「他には?」「そのためには何ができる?」というようにどんどん引き出してあげましょう。
⑦ 今できることは?
たくさん出てきたら書き出した紙を見ながら、「~さんは、○○を実現するために、○○もできるし、○○することもできるし、......もできるんですね」と読み上げてあげます。そして紙を相手に渡して、「今何がしたい?」という質問をしてあげてください。ここまできたら役割交代です。最初はやり方を示してあげるといいと思います。
■指導者や周りの大人たちが意味や価値を引き出していく
今回紹介した方法は、自分の夢を実現することが自分にとってどのような意味や価値をもたらすのかということを引き出して整理し確認することができるので、やる気を引き出すために役立ちます。また、夢の実現のためにできることを具体的に引き出すこともできるので、行動へと導くこともできます。自分一人で行うこともできますし、2人組でお互いにインタビュアーとなって引き出していくこともできます。
私自身も、忙しかったり疲れていると仕事の意味を忘れてしまいますので、ときどきこの方法を用いて確認しているのですが、そのたびに心の底から感動し、感謝し、行動意欲が湧いてきて、新たな気持ちで行動が移せるようになっています。
実際に子どもたちに試してみるとやる気になってきて、自分から行動するようになります。子どもたちには「練習しなさい」と言うことよりも効果がある方法です。是非、試してみてください。
無限の可能性を引き出す リソースを増やせ!
■『リソース』に気づくこと
シーズンオフのときは、自分の内面を磨くチャンスです。客観的に自分を見つめたり、考え方を検証してみたり、自分に必要な考え方や心のあり方を見つける機会を持つと、シーズンに入った時にも力を出せるようになります。今回は、目に見えない力『リソース』を活用したメンタルトレーニングを紹介します。
『リソース』とは、自分の目標達成のために役立つあらゆるもののことをいいます。子どもたちも含めて私たちはたくさんのリソースをすでに持っているのですが、気づいていないリソースもたくさんあり、活用されていないことが多いのです。ですから、『リソース』という視点から、自分の素晴らしさに気づき、それを活用できるようにしていくことで、さらなる可能性をたかめていくことができるようになります。また、今後身につけていきたいリソースを明確にすることで、自分自身の課題もまた見えてきて、今何をすればいいのかが自ずとわかるようになってきますから、練習の効果を上げていくのにも役立つと思います。
■リソース活用プログラム
頭の中を整理するために書き出すことが役に立ちます。ワークシートを用意して記入しながら進めていくと効果的に進められます。
① まずは自分の目標を明確にしましょう。野球で自分はどのくらいのレベルまでいきたいのか、どのような大会に出場しどのような成績をおさめたいのか、野球を通して、自分はどのような存在になりたいのかなど思いつくことを書き出してみましょう。
② 自分の目標を実現するために役立つもので自分がすでに持っているものを書き出してみましょう。例えばリソースには次のようなものがあります。
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【リソースの例】
●身体に関するもの
丈夫な身体、スタミナや体力、バネの強さ、関節の柔らかさなど
●技術や能力に関するもの
瞬発力、走るのが速い、筋力がある、正確な守備力、盗塁の技術、
投球、打力、分析力や勘の鋭さなど
●精神面に関するもの
粘り強さ、図太さ、負けず嫌い、あきらめない心など
●経験や思い出
○○大会出場、○○試合勝利、ファインプレー、過去の自分の記録、
野球を思いっきり楽しんだ経験など
●その他
自分を支えてくれる家族、応援してくれる家族、野球を一緒にできる
仲間、 野球ができる環境、トレーニングする場所と時間など
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③ 強いと思っていたことだけがリソースであるとはかぎりません。
もしかしたら、自分は欠点だと思っていたことさえ見方を変えればリソースにできる可能性があります。次の表のあいている下の部分を使って、自分のマイナスの側面ををプラスに見方を切り替える練習をしてみましょう。
| マイナスの側面 | プラスの側面 |
| のろま | 自分のペースを持っている |
| 意志が弱い | 柔軟である |
| 計画性がない | 直観に従って動いている |
| 抜けている | すきを見せて相手を油断させる |
| 行動力がない | 慎重に行動する |
| 怒りっぽい | 本気で取り組んでいる |
| 飽きっぽい | 切り替えが早い |