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2010年6月 アーカイブ

2010年6月 2日

『パワーアップクエッション』で気持ちをコントロールする!

■心の状態を切り替える

 試合の時も、練習の時も気持ちの持ちようは、試合のコンディションや練習成果にも大きく影響しています。どのような心の常態であってもベストの状態に気持ちを切り替えることができたらどんなにいいでしょうか。心のコンディションを整えるにはちょっとしたコツが必要です。今回は効果的に気持ちを切り替える質問技法をご紹介します。
 質問は意識の状態を切り替える力を持っています。自分にとって効果的な質問を知っていれば、その質問を使っていつでも自分をベストの状態に切り替えることができるのです。質問を使って練習でも試合でももっと成果を発揮していきましょう。


■パワーアップクエッション

 自分の意識を効果的に切り替えたり元気にする質問を、
 『パワーアップクエッション』といいます。

1.場面ごとに効果的に切り替わる『パワーアップクエッション』を紹介しますので、実際の場面を思い描きながら、まずは自分にこの質問を自分に投げかけてみましょう。


●練習を効果的に変える『パワーアップクエッション』
 その日の練習を始める前にこの質問を使うことで、練習が効果的に切り替わります。

☆ 「今日の練習で達成したいことは何か?」
☆ 「この練習で最大限の成果を得るためには、何に意識を集中して
   練習すればいいのか?」

●試合前の『パワーアップクエッション』
 試合の前にこの質問を使うと、試合でも意識をいい状態に保ちながら
 試合をすることができます。

☆ 「この試合でどのような結果が作り出したいだろうか?」
☆ 「その結果を得るために自分ができることは何か?」
☆ 「自分はどのような状態で試合に望みたいだろうか?」
   例「生き生きとした状態など」

☆ 「今この場面でできる最大限のことは何だろうか?」


●試合中の『パワーアップクエッション』
 試合中に集中力が途切れた時などにも、この質問で
 効果的に集中力を高めていくことができます。

☆ 「今、この瞬間何に集中すればいいだろうか?」
☆ 「今、この瞬間を最大限に活かすためにできることは何か?」
☆ 「この試合で発揮したい力は何か?」

◆バッターボックスに入る前

☆ 「どんなボールなら打てるか?」
☆ 「どのコースをねらっていくか?」
☆ 「どんなバッターになりたいか?」
☆ 「10割打てるバッターはいるか?」

◆ストライクが入らないで焦っているとき

☆ 「練習でストライクが入っていたときは、何に意識して投げていたか?」
☆ 「自分の得意なコース(自信ある球)は?」
☆ 「どんなピッチャーになりたいか?」

◆もし、ミスをしてしまった場合

☆ 「このミスを取り戻すためにできることは何か?」


●試合後の『パワーアップクエッション』
 試合の結果が良くても悪くても、この質問を使うと効果的に質問を
 次へのステップに変えていくことができるようになります。

☆ 「この試合で、チームや自分の良かったところはどこか?」
☆ 「もし、次の試合で同じような場面となったら、次はどこをどのように
   変えていきたいか?」

☆ 「この試合で、学んだことは何か?」
☆ 「次の試合のために、何をすればいいか?」
☆ 「今、できることは何か?」


朝の気分をやる気に変える『パワーアップクエッション』
 朝起きたばかりのときや、通学や練習に向かう途中で自分にこの質問をすると、
 やる気が出てきて一日を効果的に過ごすことができるようになります。

☆ 「朝起きてから今までの時間で自分にとってよかったことや
   感謝していることは何だろうか?」
☆ 「今日という日を最大限に活かすために、何ができるだろうか?」
☆ 「今日、自分の夢に近づくために何ができるだろうか?」
☆ 「今日、チャレンジしてみたいことは何だろうか?」
☆ 「今日、自分をワクワクさせることは何だろうか?」


●夜の自己成長を促す『パワーアップクエッション』
夜、今日一日を振り返ってお風呂の中や布団の中でこの質問を自分に投げかけると、一日一日を無駄なく過ごし、一歩一歩前進していくことができるようになります。

☆ 「今日、良かったことは何か?」
☆ 「今日、何に感謝しているか?」
☆ 「今日、夢に向かって前進したことは何だろうか?」
☆ 「今日、一生懸命頑張ったことは何だろうか?」
☆ 「今日の自分で、よくやったと思えることは何だろうか?」


2.質問をする前と後でどのように自分の気持ちが切り替わったのかを感じて比べてみましょう。もし、何人かでやってみる場合は、感想を話し合ってもいいでしょう。

3.今体験した質問の中から、自分にとって効果的な質問を選んでみましょう。

4.今度は、自分にとってもっと効果的に意識を切り替えることができる質問を、自分でつくってみましょう。

 今回紹介した『パワーアップクエッション』は、自分を最大限に効果的に切り替えるための質問です。質問は、いつでも誰でも簡単に行えますので、是非繰り返して習慣化してください。この質問を繰り返していくと、心が強くなってきて、質問一つでベストコンディションにもっていくことができるようになります。

■指導者のみなさんへ
 このパワーアップクエッションは、指導者が子どもたちに対して質問を投げかけることでも、同じように効果を発揮します。「~しなさい」と指示や命令をするよりも、質問を使ったほうがより効果的に相手の心に届くという効果もあります。ここでは、子どもたちが効果的になる『パワーアップクエッション』を紹介しましたが、実は『パワーダウンクエッション』というものもあります。「そんなことしたらどうなると思っているんだ」「三振したらわかっているんだろうな」など子どもたちの恐怖や不安をあおり、子どもたちが萎縮してしまうような言葉がけがパワーダウンクエッションです。自分の言葉がけが子どもたちにとってパワーダウンさせているのか、パワーアップさせているのかを振り返っておくのもいいと思います。
 また、パワーアップクエッションは子どもたちだけでなく指導者にとっても効果的に活用できます。例えば、私自身は子どもたちの前に立つ前や講演の前には、「目の前にいる子どもたちにとって、今できる最大限の援助は何だろうか?」「この講演で伝えたいメッセージは何だろうか?」「講演の終わりには、どのような状態で終わりたいだろうか?」「この講演をどのような状態で行いたいだろうか?」などという質問を使うと、緊張することなく望んだ結果になるように自然とことが運ぶのです。是非、ご活用ください。

タイムマシンに乗って 成功している自分を見てこよう!

■大切なことは『実現できる』と信じること

 試合の時も、練習の時も最大限に力を発揮するために必要なことは、「自分はできる」と自分を信じて取り組むことです。そうはいっても、「ミスしたらどうしよう」「自分にはそんな力はない」といった考えが頭にうかんでしまって、自分を信じることはなかなか難しい場合もありますよね。今回はそんな場面に役立つトレーニングを紹介します。このトレーニングは「自分はできる」と信じてやる気が高まり、自信を持って取り組めるように未来の成功した自分をイメージするイメージの力を使ったメンタルトレーニングです。
 みなさんはタイムマシンを知っていますよね。恐竜の時代や100年後の未来へ行ける夢のマシーンです。今はまだありませんが、頭の中でなら載ることができます。
 まずは肩慣らしです。準備はいいですか。20歳になった君に会いに行きましょう。

20XX年、ワールドシリーズで大いに盛り上がる球場に着きました。第7戦、9回の裏
2アウト一塁、バッターはなんと、君です。チームは1点差で負けています。ピッチ
ャーはレッドソックスの大エース松坂大輔。カウント3ボール2ストライク、最後の
一球は153キロのストレートがきた! 君は思い切りよくバットを振りました。打球
はぐんぐん伸びてセンターの頭上を越えて外野を転々を転がっている! 君は一塁の
手前で打球の行方を確認すると一気に2塁へ。1塁走者はホームを踏んで同点だ。君
はサードコーチが手を回すの確認すると躊躇することなく3塁を蹴ってホームへ突っ
込んだ。センターから矢のような球が返ってくる。クロスプレーだ。君の足が一瞬早
いように見えたが、審判の判定は・・・セーフ! 逆転優勝です。チームメイトもファンも大興奮。
 ヒーローインタビューで君は少年たちに語りかけます。「どんなときも自分はでき
ると信じることが大切です。あのバスケットボールの神と呼ばれたマイケルジョーダ
ンだって、高校生の時はレギュラーではなかったのだから」
 どうですか。プレイだけではなく精神的にも立派な君が見えましたか。

さあ、今度は練習や試合で自分の力を発揮するために、どんなことをすればよいのか。
ちょっとタイムマシーンに乗ってみましょう。


■やってみよう!

① 何でも叶うとしたら、いつ、何を実現したいか?
まずは、「何でも叶うとしたら、いつ、何を実現したいか?」という質問を自分に投げかけてみましょう。そして「いつ頃、どんなことを実現したいのか」を自分と相談して決めていきます。できればそんなに遠くない将来の目標を決めてください。今シーズンでもいいですし、自分が野球で活躍したい試合を選んでもいいと思います。

② 実現している自分に会いに行く
次は、イメージのなかでタイムマシンに乗って、①で決めた自分の夢が実現しているところを見に行きましょう。タイムマシンがとんでいく日時と場所を決めてください。何年何月何日の時間は何時ごろか場所はどこかを設定します。正確な試合の日時が分からない場合でも、だいたいこの辺りかなというものを仮に設定してもらって大丈夫です。
準備ができたら、イメージのなかでタイムマシンに乗り込んで、自分の決めた未来に飛んでいきましょう。

・そこには何が見えますか?
・誰と一緒ですか?
・服装はどんな服装ですか?
・何が聞こえてきますか?
・自分の声や誰かの声は聞こえていますか?
・何を感じているでしょうか?
・そのときの体の感じはどのような感じがしているでしょうか?

充分に成功している自分をイメージの世界で体験してみましょう。

③ 夢を実現した自分からメッセージをもらう
成功している自分から、今の自分にメッセージをもらってください。成功している自分が今の自分に伝えたいことは何でしょうか?

④ 夢を実現するために何をしているか?
時間を少し手前にひっぱってみます。今度は夢が実現する少し前に行ってみましょう。夢を実現するために取り組んでいるころがいいでしょう。そのときの自分は、夢を実現するためにどんなことをしているでしょうか?

そこまで確認できたら、タイムマシンに乗って、「今、ここ」に戻ってきましょう。

⑤ 今の体験を振り返る
今のタイムマシンで見てきた未来の体験を振り返ってみましょう。

⑥ メモする
今の体験を忘れないようにメモしておきましょう。
ワークシートを活用してもいいでしょう。

・ タイムマシンに乗って見てきたものや感じたこと
・ 未来の自分から今の自分へのメッセージは何か
・ 夢を実現するためにしていたことは何か
・ 今の感想

 やってみてどうでしたか?この方法は、自分のイメージする力を活用して、自分に自信とやればできるという感覚を取り戻す効果があります。実際にやってみると、「なんか実現できそうな気がしてきた」とか「実現したくなってきた」という感想を言ってくださる人が多いので、是非試して、自分の実力を引き出してほしいと思います。
 この方法は、野球での夢を実現するのにも効果的ですが、野球以外の夢を実現するのにも使うことができますから、いろいろな夢で活用しながら、沢山の夢を実現していってください。


■指導者のみなさんへ

 今回のプログラムで子どもたちに届けたかったメッセージは『あきらめないで希望を持つ』ということです。夢の実現を阻む一番の敵は諦めだからです。そして、自分に諦めている子どもたちが多いと感じたので、もっと希望を持ってほしいのでこのプログラムを紹介しました。
 実際に夢が実現したところを、イメージの世界でも見て、聞いて、感じる体験をすると、子どもたちは夢の実現を信じる手助けになるようです。それから、未来の自分からのメッセージも自分を励まし勇気づけるのに役立ちます。
 私が野球のメンタルトレーニングを通して子どもたちに伝えたい想いを詩にしました。

『好きなことをしているときが
 一番学ぶ効率がいい
 だからこそ野球を通して

○ あきらめない心を学ぶ
○ 夢を実現する方法を学ぶ
○ 苦手なことを克服することを学ぶ
○ 問題を解決することを学ぶ
○ 人との関わり方を学ぶ
○ チームとして一つにまとまることを学ぶ
○ 何をしたほうがいいのか、何をしてはいけないのかを学ぶ
 
  いじめをなくすことは野球にもできるはずだ』

 野球のメンタルトレーニングを通していじめをなくす取り組みを本にまとめました。
『メンタルトレーニングでいじめをなくす』(図書文化)発売中。
 子どもたちが野球に費やしている時間とエネルギーを生産的な方向に導けるように活用していただければと思います。

どんなときでもベストの状態で戦う!

■ベストコンディションを手に入れる

 バッターボックスに入ったときや自分のところにボールが飛んできたとき、緊張しないで最大限に力が発揮できる状態に、自分の意志一つでコントロールできたらどんなにいいでしょうか。そうはいってもベストコンディションに切り替える方法をしらなければなかなか難しいときもあると思います。どんなときにも、ベストコンディションに素早く切り替えることができる方法がありますので、今回はその方法を紹介します。
 今回紹介する方法は、今までの経験の中から良い状態であったときを思い出し、その感覚を自分の体に覚えさせ、そのときの状態に一瞬で切り替えていく方法です。
 まずは、今までの経験の中でベストコンディションであったときを思い出しましょう。試合でなくてもいいですし、野球の場面でなくてもいいですので思い出してみましょう。思い出せたら準備完了です。さっそくやってみましょう。

 「絶好球がきた!ホームランだ!」とバットを振ったけれどぼてぼてのゴロ。ツーアウト満塁の場面で自分の前にゆるいゴロが飛んできた。「やった!これで勝った!」と思って一塁に投げたら、暴投で逆転負け。そのときのにぶい当たりや指にボールが引っかかった感触が、なかなか忘れられないときもありますよね。
 もし、次の同じような場面で、緊張しないで最大限に力が発揮できるように、自分の意志一つでコントロールできたらどんなに野球が楽しくなるでしょうか。
 今回は、どんなときにもベストコンディションに素早く切り替えができる方法をご紹介します。
 今回ご紹介する方法は、今までの経験の中から良い状態であったときを思い出し、その感覚を自分の体に覚えこませ、そのときの状態に一瞬で切り替えていくという方法です。
 まずは、今までの経験の中でベストコンディションであったときを思い出しましょう。試合でなくても、野球の場面でなくてもかまいません。思い出せたら準備完了です。では、さっそくやってみましょう。


■やってみよう!

① 今までの経験の中から極めて良い状態であったときの自分を思い出してください。「何かがうまくいって自信に満ち溢れているとき」「とてもリラックスしていたとき」「とても楽しかったとき」などなんでもかまいません。

② 目の前の地面にフラフープくらいの大きさの輪をイメージして、①の状態でいる自分から見て、その輪に色をつけるなら何色かをイメージしてみましょう。

③ ①の素晴らしい状態にいたときの自分をさらにはっきり思い出してみます。はっきりとそのときの感覚を思い出してきたら、一歩踏み出してその輪の中に入り、自分の中に起こってくる感覚をよく味わいましょう。

④ ③の状態を充分体験したら、一歩後退して輪から外に出ます。

⑤ 一度深呼吸をしたり、軽くジャンプするなどして身体を動かします。

⑥ ③から⑤を4回ぐらい繰り返してアンカーを強めていきます。

⑦ ②の輪をもう一度イメージして、一歩踏み出して輪の中に入り、このときに良い状態になることができたかどうかを確認したら、一歩後退して輪から外に出ます。

⑧ 深呼吸や身体を少し動かして気分を変えます。

⑨ 将来この素晴らしい状態を使いたいと思う場面や状況を考え、その最初の場面をイメージしてみます。そして、そのイメージをするやいなや、一歩踏み出して輪の中に入り、素晴らしい状態に切り替わっていることをイメージの中で体験してみましょう。どんな場所で、何が見えて、誰がいて、何をしているか、どのような音が聞こえてくるかを感じてみましょう。

⑩ 一歩後退して輪から出ます。そして、深呼吸やストレッチなどで身体を動かして気分を変えてから、もう一度将来の場面や状況を考えた時に良い状態が再現されるのを体験してみましょう。

 どうでしたか?今までにやったことのない面白い体験になったのではないではないでしょうか?この①~⑩までのプロセスを行っておけば、心の切り替えスイッチができあがりますので、試合や練習などでその色の輪をイメージすればいつでもベストコンディションに切り替えることができます。1人でもできますし、ペアになって1人が誘導しながら進めても楽しんでできます。
 緊張しないでプレーする他に、人前で話をするときや、そのほかの緊張場面でも使えます。また、落ち着いて冷静な輪だけでなく、エネルギッシュでやる気モードの輪、頼もしい輪、ユーモアの輪、優しい気持ちの輪なども同じ方法でつくれます。イメージの輪なので、折りたたんでいつでも持ち歩けますので、必要な時に必要な輪を取り出して使うことができます。日常の様々な場面で活用してみてください。


■指導者のみなさんへ

 今回のプログラムは、「緊張して実力が発揮できないだめな自分」から「緊張しても自分で心と体の状態を切り替えることができるなかなかやる自分」へとセルフイメージを切り替えていくことサポートしたいと思い紹介しました。子どもたちが自分に自信を持ってプレイできるようになるためにも効果的に活用できます。
 私自身も、この方法を活用して緊張や心の状態をコントロールしています。人前で話すときは「落ち着いて冷静に話をできる輪」や「楽しくいきいきと話をする輪」を活用していますし、イライラしたり怒りモードのときは「優しい気持ちで相手と向き合える輪」を使っています。
 緊張などの感情は突然生じて、自分の意志で「落ち着け」と言ってもなかなか落ち着けるものではないのですが、この輪をイメージするだけで感情もストレスも、その時の人間関係でさえコントロールできるようになるパワフルな方法です。是非、子どもたちに緊張場面だけでなく、いろいろな日常場面で『なりたい自分』でいることができるようにこの方法を用いてサポートしてあげてほしいと思います。

不安や悩みを乗り越える!

なかなか選手になれないな」
「自分は上達しているんだろうか」
「ミスやエラーした後は、焦ってしまってどうしていいかわからなくなる」

など、日々の野球の練習や試合に対して不安に思っていることや悩みはないでしょうか?
 不安や悩みを持つのは人間として当然のことですが、そのままにしておくと練習や試合でも障害となって足を引っ張ることにもなりかねません。けれども、ちょっとしたコツで不安や問題も乗り越えやすいものに変えていくことができます。今回は、誰でも簡単にできる『言葉のフォーマット』を変えながら、心も前向きに切り替えて、さらに問題や不安も乗り越えられるプログラムを紹介します。


■やってみよう!

①~⑥の流れで進めて行きます。ワークシートを使うといいでしょう。

① 「今の自分が野球の中でできていることは何か?」という質問を自分に問いかけてみましょう。どんな小さなことでもかまいません。例えば、「練習に参加できている」「ときどき試合に出してもらえる」など思いついたことをだんどんあげて書き出していきましょう。出来てないことではなく、出来ていることにまず目を向けてみるのです。

② 次に「野球の場面で達成したい目標は何か?」という質問を自分に問いかけましょう。パッと思いつくことを書いてみましょう。5秒で書いても1週間悩んで書いても結果は同じです。

③ みなさんの野球での悩みは何でしょうか。
・ バッターボックスで緊張してしまう
・ ミスすると焦って冷静でいられなくなり、気持ちを切り替えるのが難しい
・ 選手になれない
・ 技術が上達しない
・ 声出しがうまくできない
・ リーダーシップがとれない
・ 判断力に自信がない
・ 集中力が途切れてしまう
・ やる気が持続しない
・ 指導者が怖い

 など、人によってさまざまな悩みもあると思います。「自分の悩みは何か?」と自分に問いかけて、思いつくまま箇条書きに書き出していきましょう。

④ 書き出せたら、書き出した内容を一つずつすべて「どうしたら~できるか?」という言葉に書き換えていきます。

・ どうしたら打席に立ったときにも緊張せずに実力を発揮し、打率を上げられるか?
・ どうしたら選手になれるか?

というようにです。
ここで、もっとパワフルで効果的な方法は、「どうしたらチーム一~になれるか」「どうしたら、この地域で一番の~になれるか」「どうしたら日本一強い~になれるか」というように「~一」という言葉を入れると、もっとポジティブでワクワクするような質問に書き換えられます。

⑤ ④で書いた「どうしたら~できるか?」という質問を自分に問いかけていきます。そして、浮かんできた答えをどんどん書き出していきましょう。例えば
・ 打率を上げるために特訓をしてみる
・ 試合で実力が出せるメントレを毎日試してみる
というようにです。

⑥ 「これからの半年で何が主な成果としてつくりだせるか?そして、それを~までに~を達成することによって~(ほしいインパクト)となるというかたちで表現してみるとどうなるか?

⑦ 目標達成のために何をするか?今から1ヶ月以内に自分に起こすインパクトは何か?

⑧ 書いた答えを眺めてみましょう。そして、実行に移すためにできることを具体的にしていきます。具体的にしていく手法には、今まで紹介したウェビングや夢実現プロジェクトなどを活用するとさらにいいと思います。

 やってみてどうでしたか?問題であるとこになんとなく気づいているけどそのまま放置しておくのと、問題点を認識し、改善に向けて行動していくのでは、成果や結果にも大きな違いがでてきます。多くの場合は、問題であることすらはっきりと自覚できていないで放置されているのではないでしょうか。
 今回紹介した方法は、野球以外の悩みにも活用できる方法です。夢を実現するためにも、人間関係を今よりももっとよくしていくためにも、もっと成績をあげていくためにも、いろいろな場面で活用できます。


■指導者のみなさんへ

 今回のプログラムは、大橋禅太郎さんの著書『すごい会議』の中で紹介されている手法を応用したものです。『すごい会議』の手法では、さらに、言えなかった問題、言いにくい問題、言ってはいけない問題は何かを問い、そこから出てきた答えをまた、「どうすれば~できるか?」に書き換え、さらに、『真の問題葉何か?』という質問をして、顕在化されていない潜在的な問題にまで焦点を当てていきます。シンプルな手法ですが、この手法を使うと、本当の問題が見えてきます。
 私自身もこのフォーマットと流れを活用することによって、会議ではなく自分の抱えている問題もパワフルに改善し、素晴らしい結果に導いてくれることを発見しました。さっそくこのフォーマットを用いてある先生に試してみたところ、自覚されていなかったさまざまな問題もどんどん解決できることがわかりました。
 例えば、「子どもたちが自分で考えて動けない」と思っていたことに対し、「子どもたちが自分で考えて動きにはどうしたらいいか?」というフォーマットに変えてみると、「自分で考えるような発問を多く取り入れてみたらどうか」という答えが浮かんできたそうです。また、「苦しい状況に追い込まれるとパニックになってしまう子どもが問題だ」と思っていたことに対しては、「どうすれば、彼がパニックにならないようにしていくことができるか?」という言葉のフォーマットに変えたら、「言葉がけを肯定的に変えていくようにしたらどうか」という答えが自ずと浮かんできたといいます。今までは、「問題である」でとまっていたことがらが、解決するための行動を導き出すところまで変化したのです。子どもたちの指導に対してもこのように活用することができます。
 子どもたちの問題を乗り越えるサポートのためにも、自分自身の指導をよりよくしていくためにも、ご自身の自己実現への手がかりとしても幅広くご活用いただければと思います。

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