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プレーの幅を広げるイメージトレーニング

■苦手なプレーを克服する

 みなさんは、子どもたちの苦手なプレーを克服するために、どのような指導をされていますでしょうか。一般的な指導法としては、直すポイントを指摘したり、身体の使い方を説明するという方法が多いようです。しかし、子どもによっては、なかなか注意したことを改善できないで苦労していたり、苦手意識を持ってしまうこともあるようです。
 今回は、イメージの力を借りて、苦手なプレーを克服したり、プレーの幅を広げていく指導法をご紹介したいと思います。


■イメージの力を確認しよう

 まず最初に、イメージの力がどれだけ自分のプレーに影響しているのか、実験で確かめてみましょう。

① 野球の下手な弱い選手になったことをイメージしてみましょう。顔の表情も、姿勢も、身体の力の入れ方から考える内容まで、弱い選手になりきって立ってみましょう。次に、弱い選手になりきってバッターボックスに向かうことをイメージして歩いてみましょう。そしてバッティングの構えとスウィングや守備もやってみてください。どんな感じがするでしょうか。

② 次は、野球の上手い強い選手になったことをイメージしてみましょう。自信もあり、冷静で判断力もある選手になりきります。顔の表情も、姿勢も、身体の力の入れ方から考える内容まで、強い選手になりきって立ってみましょう。次に、強い選手になりきってバッターボックスに向かうことをイメージして歩いてみましょう。そしてバッティングの構えとスウィングや守備もやってみてください。どんな感じがするでしょうか。

③ 弱い選手になったときと、強い選手になったときでは、どのような違いがあったでしょうか。ペアで話し合ってもいいでしょう。
 イメージが気持ちや体の動きにも大きく影響していることが確認できたと思います。
 上手くて強い選手になりきると、自分自身の知らない領域の技術レベルも、役を通して体験し始めることができるようになります。このことを利用して、苦手なプレーを克服することに役立てます。

④ 次に自分のプレーの克服したい部分をなるべく具体的に、それぞれ紙に書き出していきます。

⑤ 自分の苦手なプレーを得意とする選手を見つけてみましょう。有名なプロ野球選手でもいいですし、海外の選手でもいいです。自分の苦手な要素をカバーできる人物であれば、野球以外の選手でも、マンガなどの主人公でもかまいません。一人出なくてもいいので、何人か挙げてみましょう。

⑥ 今見つけた選手になったつもりで、その人になりきってみましょう。顔の表情、考え方、立ち方、歩き方、プレーも真似てみます。

⑦ 練習でも、苦手なプレーを練習するときにその人のイメージを使って練習してみましょう。


■苦手なプレーを克服する

 このイメージトレーニングは、普段の練習の中で時間を10分くらいとってみんなでやってみて、一度やり方を理解したら、イメージするだけでいいので、練習の中でそれぞれが自分の頭の中で、何回もイメージしながら練習を繰り返すように指導します。1日だけでなく、何日も繰り返して行うことで、確実に自分のイメージとして取り込まれていきます。


■自分のプレーの幅を広げる

 野球をはじめてしばらくすると、多くの人が特定のスタイルにはまりこみ、抜け出せなくなることがあります。このはまりこんだ自分のスタイルから、自分の殻を破って可能性の幅を広げるためには、今回紹介した自分と正反対にある選手を演じるイメージトレーニングが役に立つと思います。是非、子どもたちのプレーの幅を広げるために活用してみてください。
 私自身が現役の頃は、世界でトップレベルの選手たちのいいところのイメージを活用していました。ダイナミックなプレーのときはこの選手のイメージ、繊細なプレーではこの選手のイメージ、スタミナがきれてしまっても気力を振り絞って動くときは、マンガ「リングにかけろ」の矢吹ジョーになったつもりで、気力を奮い立たせていました。いろいろな活用の仕方ができると思います。
 ただ頑張るだけでは辛い練習のときでも、自分の好きな選手のいろいろなパワーを借りれば、克服する力となって自分の幅を広げてくれることでしょう。


■子どもの可能性を広げるイメージトレーニング

【精神的な成長も促すことができる】

 このプログラムのすごいところは、プレーの領域を飛躍的に拡大する効果があるだけでなく、同じ方法を活用することで、精神的な成長へとつなげることもできます。
 自分が限定してきた自分の人格やプレーヤーとしての限界の枠を超えて、それ以外の人格やプレーができるということをこのメンタルトレーニングで確認すると、好きなときに好きな自分を引き出すことができるようになります。
 誰でも自分とはこういう人間で、このくらいの実力がある選手であるというように、自分のイメージを決めているものですが、その自分に貼ったレッテルを貼り直してみると、もっと違う可能性をもっていることに気がつくことができるのです。
 野球の場面だけでなく、対人葛藤場面やストレス場面でも、この人だったらどのように考え、どのような言動で対応するのかということを具体的にイメージすることで、今までとは違った対応の仕方を学ぶこともできるようになります。悩みや困難を乗り越える意味でも役立つのです。

【言葉による指導の限界】

 「言葉による指導の過剰は、プレーヤーの能力を妨げる」という報告があります。言葉によって技術を伝えると、体験と切り離されたかたちで、頭の中に蓄積され、理論の記憶と実体験の記憶が別々になってしまうことがあるというのです。その結果、余計な力が入るようになったり、動きがぎこちなくなったり、自分の動きへの自信を失ったり、意欲が減退することもあります。
 しかし、良いプレーや強い選手の雰囲気ををイメージとして捉えると、言葉での説明ではなく視覚的な体験として入り、変化が自然に生じてきます。余計な力が入ることもなく、動きは自然な形で習得され、楽しく、自信もついてきます。
 自然発生的な動きの習得として、例を挙げると、かばの親は子どもに泳ぎを教えるとき、言葉で指導することはありませんが、子どもは親の泳ぎを見て自然に泳ぐことができるようになります。しかも、力んで泳いでるかばはいないし、泳ぐのが下手なかばもいません。それと同じで、人間も、良い動きを見せてイメージさせることで、自然発生的に技術を身につけることができる。これは技術的な上達の近道ということができると思います。
 イメージできたことは、それを実現できる可能性は無限にあるといいます。良いイメージを持てさえすれば、良いプレーができる可能性も高まるということです。指導者にできるサポートは、選手たちに良いプレーをどれだけ見せたり、体験させることができるかということではないでしょうか。
 言葉による指導に頼るだけではなく、誰もが持っているイメージの無限の力を活用して、メンタルな面からも、子どもたちの可能性を広げていって欲しいと思います。
 次回は、スランプを乗り越えるメンタルトレーニングをご紹介いたします。

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2010年5月30日 18:13に投稿されたエントリーのページです。

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