« 対人関係スキル | メイン | やる気を引き出す »

心を強くするプラスの言葉

■心は鍛えられるのか
 みなさんは、普段はどのように心のことを考えているでしょうか。身体を鍛えて体力をつけたり、技を磨いたりするのと同じように、心も鍛えることができます。しかし、心を鍛えるには、ただ我慢したり、ただ頑張るというだけではなかなか思うように強くはなりません。
 心を鍛えるにも方法があるのです。このコーナーは、毎回心を鍛えるための方法を紹介していきます。みなさんは、ここに紹介されているトレーニング方法を実際に試してみながら、自分の力で心を強くしていくことができるのです。
 心のことは、なかなか教えてくれる人がいませんが、心は自分の意識一つで強くも弱くもなるのです。そして、心が強くなれば、練習にも集中できますし、打席やマウンドでも緊張せずに、実力を発揮することができるようになります。 
 どうすれば心を強くできるのか、心の仕組みを知って理解し、いつでも必要なときに心を強く保つ方法を紹介していきます。ここで紹介する方法を繰り返し意識するだけで、自分の心をコントロールできるようになっていきます。どうぞ、自分のために試してみてください。第1回目の今回のテーマは、『心を強くするプラスの言葉』です。


■プラスの言葉が心を強くする
 みなさんは、普段は意識していないと思いますが、心の中には声になっていない言葉があります。心が弱まっているときは、「どうしよう...打てるかな...」とか、「大丈夫かな~」「自分のところに球がとんできたらどうしよう...捕れるかな...」「打たれたらどうしよう...」などというように、心の中の言葉が弱々しくマイナスに傾いています。試しにピンチの状況を思い浮かべて、自分の心の声が何と言っているか聴いて書き出してみましょう。9階の裏2アウト満塁です。次のバッターは自分です。

例)どうしよう...

 どうでしたか?自分の心の声は何と言っていましたか?はじめは、自分の心の声に気がつくことが大切なのです。そして気がついたら、自分の中のマイナスの言葉をプラスに変換させるとしたら、どんなプラスの言葉に置き換えることができるでしょう。

例)大丈夫!絶対打ってやる!

 プラスの言葉には、これでなくてはいけないという決まったものはありません。何通りもあります。その中から自分にとって一番力が湧いてくる言葉を選んでおくと、本番でマイナスの言葉が出てきたときにも、すぐにプラスに変換させることができます。プラスの言葉のストックを、たくさん用意しておくと心が弱くなったときにも、すぐに切り替えられるようになります。


■確かめてみよう
 プラスの言葉が、どのくらい自分のパワーに影響しているのかということを確かめられる実験があります。みんなでやってみましょう。できれば、誰かに手伝ってもらうとよく確認できます。

① 片方の手を握り、その腕に力を入れてみます。もう一人は、その腕を両手で押して、その腕にどのくらい力が入っているか確かめます。

② 次は、指先を伸ばして、指の先から光線が出ているところをイメージしてみます。もう一人は、先程と同じように両手で押して、その腕に力がどのくらい入っているかを確かめます。

※ 実験がうまくいっていれば、手を握って力を入れているときよりも、手の先から光線が出ているところをイメージした方が、強いパワーが出ていることに気がつきます。これは実験のための準備です。

③ 次に、手の先から光線が出ていることを意識した状態で、心の中で「打てるかな」「捕れるかな」「大丈夫かな」などのマイナスの言葉を思い浮かべてみます。もう一人は、先程と同じように腕を押して、パワーがどのように変化しているのか確かめます。

④ 今度は、同じことをプラスの言葉「絶対打ってやる」「大丈夫!落ち着いていこう」などを思い浮かべながら行います。もう一人はパワーがどのように変化しているのか確かめます。


■心のコンディションを整える
 心の中の言葉が、プラスかマイナスなだけで、身体のパワーがこんなに変化してしまうことがこの実験で確かめられると思います。
気づかないうちに、心の中の言葉がマイナスになってしまうと、身体のパワーまで弱まって、緊張したり実力が出せない状態になってしまっていたのです。けれども、意識してマイナスになっている心の声に気がついてプラスに変化させるだけで、心も身体もパワーを取り戻し、実力を出せるコンディションをつくることができるのです。
 だから、普段から心の声をプラスに変化させる習慣を身につけておくと心はどんどん強くなっていきます。このトレーニングは気持ちを切り替えるだけでいいので、いつでもどこでも行うことができます。野球以外の日常生活場面でも、実力を出したり、心のコンディションを整えるのにも、プラスの言葉は役立ちます。毎日繰り返して、強い心と身体の状態を手に入れてください。
 次回のトレーニングは、「やる気」を高めるトレーニングです。


■子どもの心を鍛える上で 親や指導者ができるサポート

【心を鍛えるサポーターとして】
 今回は、子どもたちが自分の心を強くしていくために大切な、心の声をマイナスからプラスに切り替える方法を紹介しました。できれば、お子さんたちと一緒に実験を行って、子どもが確かめるのを手伝ってあげて欲しいと思います。また、もう一つ大事なことは、子どもが学んだことを大人も共通理解することです。子どもたちがいくら自分の心を強くしようとして、心の声をマイナスからプラスに切り替える努力をしたとしても、周りの大人たちが知らずにマイナスになるような言葉がけをしたのでは、努力が水の泡になってしまうからです。
 バッターボックスに向かう子どもの心は、「打てるかな」という不安で、心臓が激しくなっています。そこへ、「絶対打てよ。うたなきゃ承知しないぞ」というような脅迫めいたメッセージを送られたのでは、「打てなかったらどうしよう」というマイナスの気持ちを更に強化させてしまうことになります。これでは、実力を出せない方向に引っ張っているようなものです。
 子どもたちの心をプラスに持っていくようにするには、どんな言葉をかけてあげるのがいいのでしょうか。子どもたちだって打ちたいのです。ですから、「大きく呼吸して落ち着いていけ」「ボールをよく見ていけ」というような具体的にどうすれば打てるのかという指示や、「大丈夫!打てるぞ」というように心の声をプラスの言葉に導くような言葉のかけ方が、子どもが実力を出す状態をつくりやすくなります。
 普段の練習でも同じです。大人は目の前にある勝利に目がくらんで、思うように子どもたちを動かしたくなり、大声で怒鳴ったり、きつい指示で子どもたちをコントロールしようとします。その方が、手っ取り早いからです。しかし、長い目で見たときに、本当の意味で子どもたちにとってこの指導が役に立つ指導であるかどうかは別の問題です。子どもは大人の言葉に動かされていますが、その言動にいろいろなことを感じ取っているからです。
 怒鳴って指示を出す大人たちにとって、自分はどんな存在なのだろうか、自分の価値はどんなものか、少なくとも尊敬されてはいないということに気づくはずです。自分の内面の気持ちは本当にそれがしたいと思って動いているのか、それともやらされているのかということに気づき始めます。目には見えないけれど、確実に大人の言葉が子どもたちの心の中にたまっていくのです。良いプレーヤーに育てたいなら、子ども自身が自分の価値を感じられることは必要です。また、子ども自身の気持ちから動けるような指導が必要です。そのためには、怒鳴ったり強制的な練習方法は逆効果と言えるでしょう。大人たち自身が、プラスの言葉を意識的に使いながら、子どもたちの心にプラスの言葉をためていくことを心がけてください。

【子どもたちの心の現状】
 メンタルトレーニングをしながらチームを回っていると、ほとんどの子どもたちは自分の改善したいところは山ほど挙げられるのに、自分のプレーの良いところを挙げるのにはとても苦労しています。自分の良さを見つけられずに受け入れられずに苦しんでいます。自分の良さを知らないで、自信を持てと言っても自信を持つのは難しいでしょう。上手い選手や強い選手は、自分の良さを知って勝負しています。良いプレーヤーを育てるために、子どもたちが自分の良さを受け入れられるプラスの言葉で指導をしていくことが、子どもたちのために大人がしてやれることではないでしょうか。

【心の声をプラスにすることの意味】
 また、心の声をプラスにすることによって生じる変化は、野球以外の場面でも大きな変化をもたらします。中学生200人を対象に行った調査では、9割近い子どもたちに野球以外での変化が確認できました。中でも多かったのは、「授業中など人前で自分の意見を発表することが恐くなくなって、積極的に発言できるようになった」「テストや発表会などでも実力を出せるようになった」「不安が消えて集中できるようになり、落ち着いて生活できるようになった」「暴れたり喧嘩しなくなった」「今自分がどうするべきかという判断力がついて自分の行動に自信が持てるようになった」という変化でした。このことからも、心を自分でコントロールするスキルとして、自分のために使えることがわかります。是非、身につけられるように一緒に取り組んでみてください。

About

2010年5月30日 17:12に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「対人関係スキル」です。

次の投稿は「やる気を引き出す」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type
 
Get macromedia FLASH PLAYER ※一部FLASHを使用しています。画像が表示されない場合は
最新のMacromedia Flash Playerをダウンロードして下さい。
Copyright(C)2006-2008 Fumiko Katoh. All Rights Reserved.