それはだれも知らない北の国の、小さなもみの木のお話です。
毎日毎日こおりつくような冷たい雪が降り、風もつきさすような寒さです。
寒さをこらえて、じっと息をひそめているのがやっとでした。
「こんなにつらいのは、もういやだ」もみの木の子どもノエルは、そう思っていました。
ノエルはおかあさんにたずねました。
「いつまでここでがまんしていればいいの?」
「おまえが、こうしたいと思うものが見つかるまでだよ」
おかあさんはしずかにこたえました。
「でも、こんなに寒くてがまんするのもつらいのに、ぼくになにができるというの?」
ノエルはおかあさんに聞きました。
「自分が本当にしたいことは、自分だけが見つけることができるものなのよ」
おかあさんは、こたえました。
ノエルはそれからいっしょうけんめい考えました。ぼくになにができるだろう。
ぼくにはおいしい実もならないし、きれいないろに葉っぱをかえることもできないよ。
ぼくはいったいどうしたらいいんだろう。
ノエルはなにもできない自分が、だんだん悲しくなりました。
そんなノエルに、おかあさんがやさしく言いました。
きっとノエルにもできることがあるはずよ。ノエルは本当はなにがしたいの?」
「ぼくね、本当はみんなによろこんでほしいの。人間の子どもたちはいつも楽しそうで
友だちになりたかったんだ。だからね、子どもたちによろこんでもらえることができたら、
友だちになれると思うんだ。」
「そう、それはとってもすてきなことね。きっと、ノエルならできるわ。
ノエルにできることが、きっと見つかるはずよ。安心しておやすみなさい。」
ノエルはねがいつづけました。そしてあきらめませんでした。
あるばん、サンタクロースが通りかかりました。
ノエルはサンタクロースに言いました。
「サンタさん、ぼくにもお手伝いさせてください。サンタさんはみんなによろこばれていて
とってもうらやましいんです。ぼくは、サンタさんにはなれないけど、ぼくもみんなに
よろこんでもらえるように、サンタさんのお手伝いがしたいんです。」
「それはありがとう。わたしにとてもいい考えがあるよ。クリスマスがくる前に、
ノエルが先に子どもたちの家に行って、もうすぐサンタクロースがプレゼントを持ってくるから
楽しみに待っててというメッセージを届けてくれないか。」
ノエルはうれしくなってこたえました。
「それはおやすいごようです。あーぼくは、こんなすてきなことができるなんて、
本当に夢のようです。サンタさん、どうもありがとう。」
あくる日、さっそくノエルはそこを通った子どもたちに、サンタさんに教えてもらった話をして、
家につれて帰ってもらいました。
子どもたちの家につくと、ノエルは子どもたちに星や木の実できれいにかざってもらいました。
子どもたちはきれいにかざりつけたノエルを見ては、
とても楽しそうにクリスマスを待っていました。
うれしそうな子どもたちの顔を見て、ノエルもうれしくってしかたありません。
クリスマスの夜になりました。
サンタさんはノエルを見つけると言いました。
「ありがとう。とっても助かったよ。ノエルのおかげで、
クリスマスが今までよりも楽しくてしあわせなものになったよ。
また、来年もよろしくたのむよ。」
ノエルは、うれしそうに大きくうなずきました。
そしてクリスマスが終わると、また来年もくることをやくそくして、
元の場所にもどしてもらいました。
「おかあさん、ぼくね、みんなによろこんでもらえてとってもうれしかったんだ。おかあさんの言うとおり、ねがい続けていたからかなったんだね。
おかあさん、ありがとう。それで、おかあさんは何をねがいつづけていたの?」
「おかあさんは、ノエルのしあわせを見まもることをねがいつづけているのよ。」
ノエルはもうつらくはありませんでした。
ノエルのこころの中には、子どもたちのよろこぶ顔がうかんで、
いつでもノエルを元気にしてくれるのです。
おわり
このお話は、私がつくったお話です。
ノエルは、私でした。優しいお母さんとサンタクロースは、
私が辛い時に助けてくださった恩師の岡野嘉宏先生です。
岡野先生へ感謝の気持ちをこめてつくったお話ですが、
みなさんにも素敵な何かが心に届きますように。
みなさんの幸せを心から願って
メリー・クリスマス!!
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